日産、米国の工場・事務系で追加退職募集、業績連動給与停止 社内文書

早期退職をイメージした画像

再建中の日産自動車が、2万人に積み増した人員削減計画の一環として、米国内の事務系部門やミシシッピ州の完成車工場を対象に追加的な早期退職の募集を始めたことが分かった。

さらに、世界規模で今年度の業績連動型賃金の引き上げも停止した。

経営陣が従業員に宛てた社内メールをロイターが確認した。

イバン・エスピノーサ社長は5月13日、国内外の完成車工場7つを閉鎖し、前回9000人と公表していた人員削減を1万1000人増やして計2万人にすると発表。

メールはこの発表の後に送付された。

社内メールによると、日産は米国の人事、企画、情報技術・システム、ある特定の財務などの事務系部門に所属する従業員に対し、早期退職のパッケージを提示。

ミシシッピ州にあるキャントン工場の従業員にも同様の措置を講じている。

早期退職募集を巡っては、日産が昨年11月に9000人の削減方針を表明した際、キャントン工場を含む米国3工場で4月から実施すると明らかにしていたが、今回はこれとは別の追加募集となる。

米国事業を統括する日産アメリカズ会長のクリスチャン・ムニエ氏は同メールの中で「日産は米国で、事業規模を適正化するための相当な努力を講じてきたが、現地レベルで追加の限定的な戦略的措置を講じる必要がある」と説明、「実施している取り組みは日産の再建にとって不可欠だ」と述べている。

日産の広報はロイターの取材内容に関し、早期退職募集については「現在進行中のため、詳細な情報は提供できない」とした上で、「米国の一部の正社員を対象に自主退職プログラムを実施する。特定の部門と地域に所属する一部の正社員が対象となる」とコメントした。

また、ロイターが確認した別のメールによると、日産は今年度、世界で業績連動型給与の引き上げを凍結した。

同社が27日に開示した定時株主総会の招集通知によれば、今年3月末に退任した内田誠前社長を含む4人の執行役員に対し、日産は合計6億4600万円の退職金を支払っている。

ロイターの取材によると、日産が検討している工場削減案では、メキシコの一部など海外5工場のほか、主力の追浜工場(神奈川県横須賀市)と子会社・日産車体の湘南工場(同県平塚市)が対象となっている。

日本国内の事務系部門でも今年度中に早期退職者の募集を始めたことが明らかになっている。

参照元:REUTERS(ロイター)