「備蓄米」 契約相次ぎ随意契約の受付を一旦休止 見えてきた課題 「精米」「パッケージ」で目詰まりに? 重すぎて「輸送」も大変

備蓄米をイメージした画像

小泉農水大臣が翌週にも店頭に並べられると話す備蓄米。

購入を申し込む企業が続出。

農水省は随意契約での政府備蓄米の受付を一旦休止することを発表した。

小泉農林水産大臣が27日午後9時半ごろ、備蓄米についてSNSでこう発信した。

小泉進次郎 農林水産大臣のSNSより「備蓄米の販売申し込みについて、本日の午後から応募が殺到し、令和4年産の全量20万トンに達する模様です。ここからの申し込みは、令和3年産のコメになるため(10万トンの枠)、一度受け付けを休止し、3年産米で良いかの意向確認をした上で再開します」

5月25日の随意契約の説明会から、受付休止はあっという間だった。

大手小売業者は、27日、契約書を受け取り、コンビニも随意契約を申し込んだ。

その備蓄米について、小泉農水大臣は…

小泉農水大臣「(午前)9時時点で計19社。(説明会から)24時間経っていない中で、すでに9万トンという形で申し込みをいただいている」

6月上旬に、備蓄米を2000円台で店頭に並べるとしているが、27日午前、契約の申請が9万トン余りに上ったと明らかにした。

企業数はその後増加。

農林水産省によると、午後2時時点で申し込んでいるのは、ドン・キホーテの運営会社や流通大手イオンなど33社、合わせて15万7000トン余り。

早ければ29日にも引き渡しができるとしている。

アイリスオーヤマ 田中伸生 管理本部長「きのう話をしていた政府備蓄米、こちら支払いを急遽行わなければいけない」

中でも一番乗りを目指していたのが、アイリスオーヤマ。

令和4年度産のコメ1万トンを要望していて、27日、契約書が届いた。

資料には「随意契約による備蓄米」とある。

契約後、社長が訪れたのは、農林水産省。

小泉大臣と面会した。

小泉農水大臣「どのようなイメージで6月2日以降、並んでいくのか話を伺えれば」

アイリスオーヤマ 大山晃弘社長「6月2日に5キロ2000円、税抜きの形で販売する。ネット通販もあるし、グループのホームセンターでも店頭販売」

ただ、コメを消費者に届けるまでには「精米」「パッケージ」「輸送」などが必要だ。

アイリスオーヤマは…

アイリスオーヤマ 大山晃弘社長「グループ内に精米工場があるので、できるだけ早く玄米を精米して、お客様に届けることができると考える」

また、新しいパッケージを用意する時間がないため、既にある米袋に「備蓄米」とわかるよう、シールを貼るという。

備蓄米はコンビニでも並ぶことになりそうだ。

ファミリーマートは「1キロパック=税抜き400円」で販売する想定。

精米とパック詰めは、親会社である伊藤忠商事のグループ企業が行うことで、6月上旬の販売を目指す。

ただ、こうした精米やパッケージを、全ての契約企業が自社やグループ企業でできるわけではない。

備蓄米1万5000トンの契約を申し込んだドン・キホーテは…

ドン・キホーテ運営会社PPIH 初山俊也常務「袋の確保と精米所の確保、これがやはり一番のボトルネック」

精米施設を持たない企業は、備蓄米を直接購入したとしても、精米やパック詰めを卸業者に委託する。

ただ、卸も精米のキャパシティなどに限界があり、流通が目詰まりすることが懸念されている。

小泉農水大臣「明後日29日にも備蓄米の引き渡し。そのことによって、6月の1週目に店頭に並ぶ。そういった目処が見えてきた」

小泉大臣が目指す“スピーディーな流通”。ここにも課題が…

埼玉・行田市にある運送会社「G.R.TRANS」は、ドン・キホーテ側と契約を結び、これまで入札分の備蓄米を納品してきた。

しかし、随意契約した分の精米された備蓄米を、4日以降に急遽、店舗に運ぶことになったといいう。

このため、運転手の手配に追われているが、予定表には隙間がないほどのスケジュールが書かれていた。

G.R.TRANS 山際満 代表「現時点ではなんとか時間内には運ぶことは可能だが、ここに新たに備蓄米が乗っかってくると、我々、管理者も含めて、体の動ける人たちが全力で臨まないと、今回の備蓄米の輸送は乗り切れない」

人手不足に加え、輸送の壁となりそうなのが「コメの重量」だ。

G.R.TRANS 山際満 代表「玄米を手で積んで、そして、また持って行った先で、手おろしをしないといけないという業務がついてまわる。(高齢化で)ドライバーさんがかなり年齢がいっているので、30キロのコメを手で積んだり下ろしたりという作業は相当困難。

大半の運送会社では、ドライバーさんの業務軽減のために、なるべくコメの運送業務は請け負わない方向になっている」

なぜコメの積み下ろしは手作業なのか。

その原因に、米を乗せるパレットと呼ばれる荷台が、農協などの倉庫の管理下にあり、運送会社の自前のパレットに載せ替えて米を運ぶという業界の風習があるという。

G.R.TRANS 山際満 代表「米の輸送は、長いことJA全農が取り仕切って、ずっとやってきていたので、全農の中であまり改革が見られなかった。お米の玄米をバラで輸送するということに関しては、30年前からあまり変わっていない」

他にも、コメの袋が破れたら運送会社の負担になるといった商習慣も敬遠される理由だという。

社長はこう訴える。

G.R.TRANS 山際満 代表「令和のコメ騒動と呼ばれている、この急時になって、急遽、瞬時にお米を輸送してくれといったところで、そんなにすぐに対応できないんじゃないかと思っている」

参照元:Yahoo!ニュース