ルーマニアのやり直し大統領選、親EU派勝利 極右候補に終盤逆転

ルーマニアの国旗を撮影した画像

ルーマニアで18日に行われた大統領選の決選投票で、親欧州連合(EU)派で中道の首都ブカレスト市長、ニクソル・ダン氏(55)が極右政党ルーマニア人統一同盟のジョルジェ・シミオン氏に勝利した。

ほぼ終了した公式開票結果によると、ダン氏の得票率はおよそ54%、シミオン氏は46%。

投票率はこの25年間で最高となった。

EU懐疑派でウクライナ支援打ち切りを唱えてきたシミオン氏は当初勝利を主張していたが、その後敗北を認めた。

今回の選挙は昨年11月に実施された大統領選で、泡沫と目されていた極右の親ロシア派候補ジョルジェスク氏が予想外の首位に立った後、ルーマニア情報機関がロシアによる選挙介入の疑いを指摘し、憲法裁判所が無効宣言したためやり直しになったもの。

4日の第1回投票では、トランプ米大統領にならって自国第一主義を掲げ、ジョルジェスク氏の「後継者」と自認するシミオン氏が1位を獲得。

ただ決選投票に向けた選挙戦の終盤でダン氏が猛烈な巻き返しを見せて形勢逆転につなげた。

ダン氏は選挙戦で、汚職との対決やウクライナ支援継続、EU加盟国としての足場をしっかりと維持することなどを訴えてきた。

ブカレストでは18日夜、ダン氏の支持者らが「ロシアよ、忘れるな、ルーマニアはお前のものではない」と唱和した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は「歴史的勝利」だとしてダン氏を祝福。

ソーシャルメディアに「隣国であり友人であるウクライナにとって、ルーマニアが信頼できるパートナーであることは重要だ」と投稿した。

コンサルティング会社ユーラシア・グループの欧州担当マネジングディレクター、ムジタバ・ラーマン氏は、ルーマニアでは右派ポピュリストであるトランプ氏の「MAGA(米国を再び偉大に)」運動からインスピレーションを受けた政治家に対する反発が選挙で示されたと指摘。

「これは(欧州内の)親欧州派候補にとって本当に心強い結果だ」と述べた。

参照元:REUTERS(ロイター)