困窮世帯へのコロナ特例貸付、6割が滞納 1兆円超の国費を投じ200万円まで無利子の制度

新型コロナウイルスの感染拡大期に困窮世帯を支えるため、1兆円超の国費が投じられた特例貸付制度で、昨年末までに返済期限を迎えた2413億円のうち、6割にあたる1466億円が滞納になっていることが、厚生労働省のまとめで分かった。
厚労省は今年度から、督促や困窮者に対する支援の状況を把握した上で強化を促す。
生活再建を後押しし、着実な返済につなげる。
制度は、休業などで収入が減少した世帯が都道府県の社会福祉協議会(社協)を通じ、200万円まで無利子で借りられた。
160万世帯ほどが利用したとみられる。
2020年3月~22年9月の貸付額は計1兆4431億円に上った。
返済は23年1月から順次始まり、1世帯あたり毎月、数千円~数万円を返済している。
24年末までに期限を迎えた総額のうち、予定通り返済されたのは39%にあたる947億円。
滞納額は61%にあたる1466億円で23年末(660億円)から倍増した。
厚労省は「支援を急ぐ中、返済能力を十分に見極められなかった」と要因を説明する。
厚労省は都道府県社協に対し、市区町村社協などが行う家庭訪問による督促の状況、就労や家計改善の支援といった取り組みを毎年度、報告するよう求める。
制度では、住民税非課税などの世帯は国から返済免除を認められる。
会計検査院は昨年10月、一部の社協で免除や滞納の世帯への支援が不十分だと指摘していた。
厚労省は支援状況を継続的に検証し、強化を働きかける。
貸付金の返済は34年頃まで続く見込みで、生活再建が進めば滞納状況の改善につながると期待する。
日本福祉大の角崎洋平教授(社会福祉学)は「物価高で家計は厳しさを増しており、低所得者への住宅補助など安全網も充実させるべきだ」と指摘する。
参照元:Yahoo!ニュース