「女性が集まる街」福岡に企業が熱視線 アマゾンが異例の販促強化、商業施設も続々進出

福岡市内の風景を撮影した画像

「女性が集まる街」といわれる福岡が企業を引き付けている。

インターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京)は今春、福岡で防犯カメラなどのセキュリティー関連商品のプロモーションを始めた。

エリアを限定した販促強化は初めてで、福岡に女性が多いことを意識した。

他県から若い女性が多く転入する福岡は商業施設の出店や女性向けイベントの開催地として選ばれることも多く、企業から熱い視線が注がれている。

アマゾンジャパンで家電事業を手掛けるデバイス事業本部は4月から、福岡県内の家電量販店で地域密着型の販促活動に乗り出した。

販売を強化するのは、屋内外で使用可能な防犯カメラや、玄関などに取り付けるドアベルで、スマートフォンを使い、遠隔で不審者対策や子供・高齢者の見守りができる。

米国発のブランド「Ring(リング)」の製品で、日本国内では令和4年から販売されている。

福岡に目を付けた理由は女性比率の高さだ。

令和2年国勢調査では、福岡市の人口に対する女性の割合は52.7%と、東京23区(50.9%)や大阪市(51.7%)、仙台市(51.5%)、名古屋市(50.8%)などの都市を上回る。

女性の転入も多いことから、幼い子供や離れて暮らす親を見守るニーズが高いと判断した。

同社Ring事業部の大石愛部長は「女性は男性よりセキュリティー対策への意識が高い。アマゾンは購入者のレビューは見られるが、買わなかった理由を把握するのは難しい。福岡で腰を据えてお客さまと向き合うことで、強みや課題を知りたい」と狙いを説明する。

「福岡=女性の街」との見方にはデータによる裏付けがある。

総務省の6年の人口移動報告によると、福岡県の女性の転入超過は2222人で、超過数は全国で6番目に多い。

5位までは関東の都県と大阪府が占めるため、地方として注目される要素となっている。

就業機会の多さが若い女性を引き付けているとみられ、福岡市では20代女性がこの10年で増加を続けている。

九州経済調査協会によると、同市の女性就業者がサービス業などの第3次産業で働く比率は94.7%(3年6月時点)に上り、全国21大都市(東京23区や政令指定市)でトップだ。

同市中心部には女性を主なターゲットにする商業施設も多く、平成22年に「福岡パルコ」が、28年には「博多マルイ」がそれぞれ進出。

九州の玄関口であるJR博多駅ビルの商業施設「JR博多シティ」でも女性客を意識したテナント誘致に取り組んでおり、担当者は「最新のレディースファッションを取り入れ、美容関係のイベントにも力を入れている」と語る。

今年6月には、女性のライフスタイルや、女性特有の健康課題の解決を目指す「フェムテック」をテーマとしたイベント「WOMAN Life博」が福岡市で開かれる。

展示運営会社イノベント(東京)が初めて企画し、女性向けの商品やサービスを手掛ける約60の企業・団体が集うほか、女性が働きやすい環境をテーマとしたセミナーもある。

福岡県の女性人口が男性より約27万人多いことや、女性の起業家が多いことなどから開催地に選ばれた。

同社の担当者は「東京都内での開催も検討したが、地方都市で開くことで情報格差の解消につなげたい」と話す。

「フェムテック」市場は急拡大しており、今年世界で5兆円規模になるとの推計もある。

福岡成長の鍵は女性が握っているかもしれない。

参照元:Yahoo!ニュース