「それでも、お米は高いと感じますか?」JA広告に批判殺到 コメ価格18週ぶり下落も、わずか19円 備蓄米の流通システムに潜む課題

お米を撮影した画像

“令和の米騒動”と騒がれる中、コメの価格がついに下落。

わずか19円とはいえ、値下がりの背景と課題は?

そんな中、あるJA広告が物議を醸している。

農水省によると、2025年4月25日~5月4日のスーパーでのコメ平均価格(円/5キロ、税込み)は4214円で、18週ぶりに値下がりした。

前週比19円マイナスという小幅なものだが、『下がった』という事実は大きいと思う。

宇都宮大学・農学部の松平尚也助教は、「少ないながらも備蓄米が流通してきたことが要因ではないか。備蓄米が出回るスピードによるが、今後ゆるやかに価格が下がるのでは」との見解を示している。

値下がりの肝となる『備蓄米』ですが、流通の仕方には疑問が残る。

備蓄米は、JA全農など集荷業者が入札して国が放出するサイクルで、参入条件は『同量を1年以内に買い戻し』などとなっているが、現在は緩和を検討している。

一般的に『入札』は、いろんな業者の中から最安値を提示した業者が選ばれるが、備蓄米に関しては、高い価格の業者が落札するシステムだ。

宇都宮大学・松平助教は、「備蓄米は、政府が価格高騰の前に購入したもの。固定価格で放出すれば、安く流通するのでは」との見解を示している。

実は今、JA全農山形県本部の意見広告にある『それでも、お米は高いと感じますか?』という文言に、消費者から批判の声が殺到している。

ただJAにも、こう言いたくなる背景がある。

JAは、生産者が生産したコメに対し、『概算金』という実質買い取り金を提示している。

例えば新潟産コシヒカリ(一般)は、2023年度5キロ当たり約1158円だった概算金が翌年には1.2倍ほど高い約1417円となっていて、“なんとか生産者を守ろう”という動きもある。

一方で、そのコメがスーパーなど消費者の手元に来たときの価格は、約2倍になっている実情もある。

そうなると、『JAや卸売業者が多く取っているのではないか』という疑問が残ると思いますが、実はそうでもない。

宇都宮大学・松平助教によると、「卸売業者はこれまで低収益で、儲けをあまり取れずに販売してきた」といい、ようやく転嫁されることになったという。

『今日のあたりまえが未来へもつながるように』

実は、先ほどの広告には前文があります。

『今日のあたりまえが未来へもつながるように―。それでも、お米は高いと感じますか?』

参照元:Yahoo!ニュース