学術会議との溝埋まらず 法人化法案にも修正要求

日本学術会議の組織改編の議論は、2020年の会員候補者6人の任命拒否をきっかけに持ち上がった。
政府は拒否理由を明かさないまま、会員選考方法を見直そうとしたが、学術会議側の反発を受けて断念。
有識者による議論を経て、特殊法人化を目指す方針に転換した。
ただ、学術会議側は今回衆院を通過した法人化法案についても独立性の確保などに懸念があるとして修正を求める姿勢を示しており、両者の溝は埋まらないままとなっている。
1949年に「国の特別な機関」として設立された学術会議は、戦前に科学者が戦争に協力した反省に基づき、政府から独立して政策への助言を行っている。
17年には「軍事研究は行わない」とした過去の声明を継承する声明を公表した。
6人の任命を拒否した菅義偉首相(当時)は「(学術会議の)推薦を尊重しつつも任命権者として判断する」と発言。
明確な説明はせず、次の岸田文雄前首相も「一連の手続きは終了した」との見解を繰り返した。
政府は23年4月、会員選考を見直す改正法案の国会提出を目指したが、学術会議側の強い反発を受け国会提出を断念した。
その後、学術会議の在り方を検討する有識者懇談会で「学術会議を法人化し独立性・自律性を高める」とした報告書がまとめられ、今回の法人化法案につながった。
有識者懇の議論では、一部委員から「国の機関でありながら政府に反する意見を表明するのはおかしい」との意見も出た。
一方、学術会議側は法人化法案について「自主性・独立性に関する懸念が払拭されていない」とした上で、「(任命拒否問題で)信頼関係が損なわれた中でこの議論が始まったのは極めて残念」との姿勢を崩していない。
参照元:Yahoo!ニュース