全国1万1155の企業・団体の政治献金「97%」が自民へ、シンクタンク調査

政治献金をイメージした画像

国会の論戦テーマである企業や団体から政党への献金の実態は見えにくい。

とくに「献金する側」を可視化するハードルは高い。

膨大な「紙データ」の解析が必要だからだ。

しかし今春、ITやAIを用いてこのハードルを越えるシンクタンクが現れた。

東洋経済は大手報道機関などに先駆けてシンクタンクから調査結果の提供を受けた。

そこからは、主要5政党に献金をした全国1万1155の企業や業界団体の97%が献金先を自民党にしていたことがわかってきた。

企業や業界団体による献金のほとんどが1つの政党に流れている実態が数字で「見える化」されたことになる。

シンクタンクの名は「政策推進機構」。

代表で、東京大学大学院(法学政治学研究科)の博士課程に在籍する西田尚史氏(36)が今年4月に立ち上げた。

西田氏はここ数年、複数の大手メディアの政治資金報道をサポートしてきた人物でもある。

西田氏らが集計したのは2363の党本部や党支部の、政治資金収支報告書(2023年分)。

対象の内訳は、主要5政党(自民、公明、立憲民主、維新、国民民主)の本部、政治資金団体、支部(都道府県、国政選挙区まで)。

収支報告書は合計で約6万5000ページに上る。

そのデータベースの中から「法人・その他の団体」(企業だけでなく業界団体などを含む。政治団体は含まない)からの献金データを抽出した。

企業・団体数については、収支報告書に献金者として記されている企業・団体の数をカウントしている。

政党への献金額については、企業・団体名が記載されていないものも含む総額を用いている。

それによると、主要5政党側に献金していた企業や団体は全国で1万1155あり、献金総額は約49.6億円だった。

献金先を政党別に見ると、ほとんどが自民で、総額に占める割合は96%、額は47.7億円だった。

他党への献金より桁違いに多い。

他党では、立憲民主が1.1億円、国民民主が0.6億円、公明が0.2億円、日本維新の会が0億円だった。

企業・団体の数で見ると、自民に献金したのが1万0873(97%)で、額と同じく圧倒的に多かった。

その他の政党へ献金した企業・団体数は、立憲民主が226、国民民主が58、公明党が38、日本維新の会が0だった。

西田氏は「既存の報道では見られないような広範囲に網をかけて調査している。政党への献金の割合や企業、業界団体の数が全国規模で精緻に数値化されるのは初めてだろう」と話している。

見えにくかったカネの流れが数値化されたことで、今後国会で、客観データを踏まえた「政治とカネ」の議論が進む契機となる可能性がある。

西田氏は、こうした調査結果のもととなるデータを検索できるサイト「政治資金収支報告書データベース」を4月にローンチした。

これは誰でも無料で使うことが可能だ。

参照元:Yahoo!ニュース