サムスン電子が独空調メーカー買収、AIデータセンター需要取り込み狙う

韓国のサムスン電子は14日、投資会社トライトンが保有していたドイツの空調機器メーカー、フラクトグループを15億ユーロ(16億8000万ドル)で買収することに合意したと発表した。
サムスン電子にとっては過去8年で最大規模の企業買収。
安定した冷却設備が必要な人工知能(AI)用データセンターの需要を取り込む狙いで、年内には買収手続きを完了する見通しだ。
ライバルのSKハイニックスがAI半導体市場を牛耳る米エヌビディア向けに製品を納入しているのと対照的に、サムスン電子はAI半導体需要のブームに乗り遅れている。
このため同社は3月の株主総会で、成長の原動力となるようなM&A(企業合併・買収)を模索していく方針を表明していた。
ただアナリストによると、投資家はサムスン電子の収益源である半導体事業に絡むM&Aを期待していただけに、フラクトグループ買収はそれほど評価されない可能性もある。
現代自動車証券の調査責任者を務めるグレッグ・ロー氏は「この案件は消費者電子機器・家電事業の強化に関するもので、市場が望んでいるゲームチェンジャー的取引ではない。サムスン電子は大胆な賭けに出るよりも安全志向で動いているように感じる」と述べた。
サムスン電子の家電事業は、商業用の冷暖房システムも製造している。
参照元:REUTERS(ロイター)