「複雑な家庭環境から逃げたかった」 殺人容疑で逮捕の中3少年、84歳の女性を無差別に襲ったか

パトカーを撮影した画像

11日午後5時10分頃、千葉市若葉区若松町の路上で、通行人の女性から「年配女性が倒れ、出血している」と110番があった。

女性は背中に刺し傷があり、搬送先の病院で死亡が確認された。

千葉東署は12日、区内に住む中学3年の少年(15)を殺人容疑で逮捕した。

捜査関係者によると、少年は調べに「複雑な家庭環境から逃げたかった。誰でもいいから殺そうと思った」という趣旨の説明をしているという。

発表によると、亡くなったのは同区桜木北、無職高橋八生(やよい)さん(84)。

少年は11日午後5時5分頃、同区若松町の路上で、高橋さんの背中を刃物のようなもので刺して殺害した疑い。

「間違いないです」と容疑を認めているという。

千葉県警は、少年と高橋さんに面識はなく、少年が無差別に襲った可能性もあるとみている。

同署幹部によると、現場付近の複数の防犯カメラには、事件が起きた時間帯に少年の姿が映っていた。

12日朝から少年に任意で事情を聞き、容疑を認めたため、12日午後0時半頃に逮捕した。

少年の自宅を捜索し、刃物などを押収した。

少年と同居する祖父(73)が取材に応じ、「(被害者には)謝りようがない」とうなだれた。

12日未明に警察官約10人が家に来て、「(少年の)2階の部屋から物を押収していった」という。

少年に変わった様子は「全くなかった」と振り返り、「内向的で、内にこもるタイプ。私には悩みを相談しない」と語った。

同じ中学の同学年だという男子生徒(14)は、少年について「先週金曜日(9日)も学校に普通に来ていた。変わった様子はなかった」と話す一方、「『家族とけんかした』と言って不機嫌な時が結構あった」と語った。

授業中は寝ていることが多く、交友関係も活発ではなかったという。

事件現場は、JR千葉駅から北東に約5キロの住宅街にある路地。

高橋さんの自宅からは直線で約400メートルしか離れていない。

車で通りかかり、高橋さんが心臓マッサージを受ける様子を目撃したという40歳代女性は「殺人事件が起きたと知って驚いた」と話した。

15歳の少年が見知らぬ高齢女性を刺殺したとされる今回の事件。

県警幹部は「動機を含め、慎重に捜査を進める」としている。

未成年者が面識のない相手を狙った事件は過去にも起きている。

2022年1月には、東京都文京区の東大前で、大学入学共通テストの受験生ら3人が刃物で刺されてけがを負い、当時17歳の元男子高校生が殺人未遂罪などに問われた。

東京地裁で開かれた公判では、東大を志望していた元高校生が成績が落ちたことで自暴自棄となり、「人を殺して人間として最悪になれば、自責の念から自殺できる」と考え、犯行を決意する様子が明らかになった。

埼玉県戸田市の中学校では23年3月、教員が切りつけられて重傷を負う事件が発生。

殺人未遂容疑で逮捕された当時17歳の少年は「無差別殺人に憧れがあった」という趣旨の供述をした。

家裁調査官を23年務め、少年事件に詳しい国際医療福祉大の橋本和明教授(犯罪心理学)は「無差別に第三者を攻撃する裏には、自分の気持ちを社会に知ってほしいという心理が隠れている」と指摘。

「特に精神的に発達途上の未成年者は、家庭や学校の環境に影響を受けやすい。なぜ無関係の人を襲う行為に至ったのか、少年を取り巻く状況を丁寧に調べる必要がある」と話す。

参照元:Yahoo!ニュース