銀行・信金の貸出、4月は2.4%増 米関税の影響「現時点で見えず」

日本銀行の外観を撮影した画像

日銀が12日に発表した4月の貸出・預金動向によると、銀行・信金計の貸出平残は前年比2.4%増の636兆5451億円だった。

伸び率は前月を下回ったが、残高は前月をわずかに上回って2000年1月以降の最高を更新した。

M&A(企業の合併・買収)関連や不動産関連、経済活動の改善に伴う資金需要が続いている。

日銀の担当者によると、米国の関税措置に伴う貸出への影響は現時点で見えてきていない。

業態別にみると、都銀等が1.3%増の254兆9513億円で、伸び率は前月の2.4%を大きく下回った。

為替が円高に振れたことで外貨建て貸出の円換算値が目減りしたほか、昨年見られたM&Aの大口貸出の影響が剥落した。

地銀・第二地銀は3.6%増の303兆2202億円で、残高は1991年7月以降で最高を更新した。

信金は1.3%増に伸びが加速した。

4月はトランプ米大統領が相互関税の導入を発表、その直後に相互関税の上乗せ分の適用を90日間停止するなど関税政策を巡る不確実性が高まった。

日銀の担当者は、米国の高関税政策などの貸出への影響について、企業業績の悪化や不確実性の高まりが貸出増につながる可能性がある一方で、M&Aや設備投資の慎重化は貸出の減少につながる可能性があるなど、プラスマイナス双方の要因を想定しているが「現時点では(影響は)まだはっきりとは見えていない」と述べた。

預金平残は、都銀・地銀・第二地銀の3業態と信金の合計で前年比0.7%増の1060兆8510億円だった。

07年4月以来の低い伸び率。

貸出の伸び鈍化や政府支援策の影響一巡、預金から株式や投資信託といった運用資産へのシフトが伸び率の縮小につながったとみられる。

参照元:REUTERS(ロイター)