自治体トップ、続々インド詣で 巨大市場見据え、人材確保狙い「営業」

インドの国旗を撮影した画像

自治体トップのインド訪問が相次いでいる。

2025年2月には愛媛県知事が訪れ、2024年12月は静岡県知事や山梨県知事らも渡航した。

狙いは巨大市場を見据えた経済交流や優秀な人材の確保だ。

急成長する国の活力を取り込めるか、自県の魅力と強みを伝える「トップセールス」力も試されている。

「愛媛には観光地がたくさんある。松山城に行ってみたい」。

南部タミルナド州チェンナイにある人材派遣会社「日本エデュテック」で、2025年8月から愛媛県で技能実習生として働く予定のプラディープさん(23)が日本語であいさつすると、参加者から拍手が起きた。

2025年2月上旬、中村時広愛媛県知事や県内経済界の約80人がチェンナイを訪れ、現地企業との商談会や日本語を学ぶ地元大学生との交流行事に参加した。

日本エデュテック視察はその一環で、一行は技能実習生8人と対面。

中村知事が日本での不安を尋ねると、一人は「ごみの分別です」とはにかみながら答えていた。

滞在中には愛媛県や現地商工会議所が経済交流の覚書を締結。

在チェンナイ日本総領事公邸で愛媛の食の魅力を発信するイベントも開き、州政府や飲食店関係者にマダイやハマチのすしのほか、じゃこ天、みかんジュースなどを振る舞った。

一連の日程を終えた中村知事は「38件の商談が実現した。水産物の販路拡大の足掛かりができたのではないか」と成果を強調。

「若さと潜在能力からすれば飛躍的成長は間違いない」とインド市場に太鼓判を押した。

インドは旺盛な経済成長を続け、今後数年で日本とドイツを抜き世界3位の経済大国になる可能性を秘める。

世界最多14億人超の人口を抱え、国民の年齢中央値は29.8歳で日本の49.9歳と比べると若さが際立つ。

人口減に悩む日本の自治体はインドの潜在力の高さに熱視線を送る。

山梨県の長崎幸太郎知事は2024年12月、北部ウッタルプラデシュ州を訪れ、再生可能エネルギーを利用して作られた「グリーン水素」の製造技術を州首相に紹介。

技術の知見共有や人材受け入れで協力を進めることになった。

同じ時期、鈴木康友静岡県知事と新田八朗富山県知事もインドを訪問。

鈴木知事は西部グジャラート州で、IT人材の獲得を視野に入れ、地元大学と経済産業分野の協力に関する覚書に調印した。

大井川和彦茨城県知事も2024年7月、首都ニューデリーなどを訪れた。

知事のインド訪問に携わった経験がある自治体職員は「インド人は気難しい印象があったが、実際に会うと友好的だった。公衆衛生の劣悪さに悩まされ、今後も課題だろうが、街や人が発するエネルギーは魅力的だ」と振り返った。

参照元:Yahoo!ニュース