ネット上の性的広告、規制に賛否 「子ども保護」VS「表現の自由」

インターネット上にあふれる性的コンテンツなどの広告を巡り、子ども保護の観点から規制を求める声が強まっている。
事態を重く見た政府は対応に乗り出す方針を示した。
ただ、憲法21条が保障する「表現の自由」に抵触しかねないとの慎重論も根強く、先行きは見通せない。
「広告ネットワークの審査やフィルタリングをかいくぐった広告が掲載された」。
料理雑誌などを手掛けるオレンジページ(東京都港区)は3月、同社サイトで性的広告が表示されたとの批判を受けて謝罪。
公式X(旧ツイッター)で釈明した。
子どもの目に触れる他のサイトでも同じような事案が相次いでいることを踏まえ、3月の参院予算委員会などで国民民主党の伊藤孝恵議員や自民党の山谷えり子議員が早急な対応を要請。
三原じゅん子こども政策担当相は政府で議論し、夏をめどに方向性を示すと約束した。
政府は、保護者が子どものネット利用を管理する「ペアレンタルコントロール」や、有害サイトの閲覧を制限する「フィルタリング」の普及を進めてきたが、不適切広告は後を絶たない。
背景には広告システムの仕組みがある。
従来は媒体側(メディア)と広告主が契約し、審査を経た広告を載せてきたが、近年「運用型」と呼ばれる広告が普及。
広告枠に対し、閲覧者の属性や嗜好(しこう)を踏まえ広告主による入札が瞬時に行われ、チェックなしに広告が表示される仕組みだ。
このシステムを日本に導入した株式会社フリークアウト(東京都港区)の本田謙社長は、不適切広告の増加は媒体側が内容より収益を優先した結果だと指摘。
「日本は無法地帯になっている。自主規制やガイドラインでは弱過ぎる」と述べ、法規制の必要性を訴える。
ただ、規制の検討には「表現の自由」が立ちはだかる。
青少年インターネット環境整備法は「青少年有害情報」として「犯罪を誘因」や「わいせつ描写」などを例示するものの、政府が昨年9月に決定した第6次青少年インターネット環境整備基本計画は、憲法への配慮から「有害性の判断に国の行政機関等が干渉してはならない」と定める。
自民の山田太郎参院議員は3月、自身のXで「不快、見せたくないという理由で法律や行政による規制を求めるのであれば、表現の自由を全面否定することになる」と法規制に反対した。
国民民主の伊藤氏は「表現の自由は大切だが、『エロ広告』に対応しない理由にはならない。ネットはすでにマス(メディア)であるとの意識を持ち、適正な広告表現を適用すべきだ」と求めている。
参照元:Yahoo!ニュース