“クチャクチャ食べ”になっていない?自分で気づくための咀嚼音のメカニズムと出やすい人の「3つの共通点」

食事している人

食事中にふと聞こえる「咀嚼音」(そしゃくおん)が、気になったことはないだろうか。

特に「クチャクチャ」という“クチャ音”は嫌われがち。外食などの場面でしばしば出てしまう人もいるが、原因はあるのだろうか。

口腔関係に詳しい、歯科医院「宇宙歯科クリニック」の深見隼人さんに聞いた。

クチャ音が頻繁に出る人には、共通点があるという。

咀嚼音と言っても、その聞こえ方はさまざま。

「ザクザク」「シャクシャク」といった音はそこまで気にならないが、「クチャクチャ」という音はなぜ出てしまうのか。

「(1)口周りの筋力が衰えている。(2)舌が食事中にうまく動かせない。(3)鼻呼吸ができていない。これらが関係すると考えられます」

深見さんによれば、人間の口周りには「口輪筋」という筋肉があり、使う機会が少なかったり年齢を重ねたりすると衰えてしまう。

衰えると、無意識のうちに口が開きやすくなる。

また、舌は口内に入れた食べ物を運んだり、飲み込んだりするときに役立っている。

そのため、うまく動かせていないと、咀嚼や嚥下(えんげ)に苦労しやすい。

そして、鼻呼吸はできていないと、自然と口呼吸になりやすいそうだ。

これら(1)(2)(3)が重なると、食事では「口が開きがちで、咀嚼や嚥下に苦労しながら、口呼吸をする」ことになる。

そうしてクチャ音が出てしまうのだという。

「このほかにも、歯並びや扁桃腺の肥大などが影響することもあります」

咀嚼音は完全に抑えるのは難しいというが、周りが気になるレベルの音が頻繁に出てしまう人には、3つの共通点があるそうだ。

1つ目は「普段から口元を動かさない」こと。

会話が少なかったり、表情の変化がなかったりすると口輪筋が使われないので、加齢とともにどうしても衰えやすくなる。

2つ目は「歯につきやすい食べ物、歯ごたえがある食べ物を好む」こと。

歯についた食べ物を舌で剥がそうとする、咀嚼に苦労するので、クチャ音が出やすくなるという。

「歯につきやすいのは、かむと粘り気が出やすい食べ物です。麺類、納豆、オクラなどが挙げられます。歯ごたえがある食べ物は肉類、繊維質な野菜(葉物類や根菜類など)ですね」

3つ目は「肥満傾向にある」こと。

太ると舌も大きくなるので、動かしにくくなる。

口内に入れた食べ物をうまく運べず、口呼吸になりやすくもなるそうだ。

このほか、成長過程にある子供は筋肉が発達していなかったり、正しい動きが身についていなかったりするため、クチャ音が出てしまうこともあるという。

口呼吸や肥満傾向をすぐ改善するのは難しいが、食べ物の選び方は変えられるはず。

咀嚼音を抑えたい場面では、軟らかそう、粘り気が少なそうなメニューを選ぶといいかもしれない。

食事中にクチャ音が聞こえると気になるが、指摘はしづらいもの。

相手に悪意はなく、出ていることが分かっていないかもしれない。

それでも我慢できないならどうすればいいのか。

口を閉じると咀嚼音は落ち着きやすいので、やんわりと“閉じる方向”に持っていってはどうかと、深見さんはアドバイスする。

「相手との関係性もあると思います。(気になる咀嚼音は)プラスになることはないので、知人や家族であれば、傷つけないように指摘したほうが良いと思います」

【他人への伝え方の例】
「もう少しゆっくり食べたら」
「一気に頬張りすぎかもしれないよ」
「食事中に口の中が見えることがあるよ」
「口元がちょっと緩くなっているよ(相手が子供の場合)」

自分から咀嚼音が出ているか、気になる音を確かめるのは難しいそうだが、以下の方法を試すと分かることがあるという。

・スマホなどのレコーダーで録音してみる
・周囲が静かな環境で食べてみる
・鏡を見ながら食べてみる

記事で紹介したポイントを意識すると、音の聞こえ方も変わってくるはず。

それでも誰かに指摘されたり、自分から出る音が気になったりすることもあるだろう。

参照元:Yahoo!ニュース