天然記念物はねた GW中「ツシマヤマネコ」2匹交通事故死 ドライバーは罪に問われるのか?保護センターに聞いた

ことしのゴールデンウィーク期間中、長崎県対馬市で国の天然記念物であり絶滅危惧種にも指定されているツシマヤマネコ2匹が、相次いで交通事故により死んだ。
天然記念物を車ではねてしまった場合、ドライバーは罪に問われるのだろうか?
対馬野生生物保護センターによると、4月29日と5月3日、長崎県対馬市内の国道でツシマヤマネコの死骸が相次いで発見された。
どちらもオスの亜成獣で胸部などを強く打っており、交通事故死とみられている。
統計を取り始めた1992年以降、ツシマヤマネコの交通事故は154件で142匹が死んでおり、致死率は9割を超えている。
センターによると、天然記念物であるツシマヤマネコを車ではねた場合、故意でない限り罪に問われることはない。
ただし、通報の遅れは救命率を下げるため、対馬野生生物保護センターは事故を起こした際にはすぐに連絡するよう呼びかけている。
一方で、故意に傷つけた場合や違法捕獲・飼育をした場合は「文化財保護法」や「種の保存法」により重い罰則が科される可能性がある。
▶故意に傷つけた場合→「文化財保護法」違反
…5年以下の懲役または100万円以下の罰金
▶違法捕獲・飼育→「種の保存法」違反
…5年以下の懲役または500万円以下の罰金
ツシマヤマネコは、特に明け方や夕暮れ時に活発になる「薄明薄暮性」の動物だ。
ネズミを狙って、明け方や夕暮れ時に活発に動き回る。
さらに春から夏は出産・子育ての時期にあたり、子ネコが道路に飛び出してくるケースも少なくない。
対馬野生生物保護センターでは、島内での運転時はスピードを控え、慎重な運転を心がけるよう呼びかけている。
ツシマヤマネコは、日本では対馬だけに生息する野生のネコ科動物で、約10万年前に大陸から渡ってきたと考えられている。
1971年には国の天然記念物に、1994年には国内希少野生動植物種に指定された。
環境省レッドリストでは最も絶滅のおそれが高い種として「絶滅危惧IA類」に分類されている。
生息地の減少のほか河川改修や道路建設などによる生息地の分断、そして交通事故などで絶滅の危機に瀕しており、環境省・長崎県・対馬市が協力して、絶滅回避のための保護活動を続けている。
参照元:Yahoo!ニュース