大阪万博でアプリ「乱立」、公式・協賛だけで7種類 万博協会「目的ごとに制作したら種類が多くなった」

大阪万博の外観を撮影した画像

大阪・関西万博は「デジタル万博」の実現をうたい、パビリオンの情報収集から道案内、電子決済まで、スマートフォンのアプリで済ませることができる。

だが、アプリは機能ごとに別々に用意され、それぞれダウンロードする必要がある。

種類の多さに戸惑う来場者も多く、「乱立」気味の面もある。

「ナビの精度が高く、機能も充実していて満足している」。

フィリピンから家族と万博会場を訪れた高校生(17)は、情報案内アプリ「パーソナルエージェント」が役に立ったと話す。

万博に協賛するNTTグループが開発したアプリで、AI(人工知能)が利用者の好みに合わせた周遊プランを提案し、目的地まで最短のルートを示してくれる。

パビリオンの予約時間が近づくと通知する機能もあり、日本語や英語、中国語など6か国語に対応している。

万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)は、「エージェント」を含む7種類の公式・協賛アプリを用意している。

万博専用の電子マネー「ミャクペ!」が利用できる「デジタルウォレット」や、脱炭素につながるメニューをこなすとポイントがたまる「グリーンチャレンジ」など、異なる機能を持つ。

充実している反面、使いこなせないとの声もある。

五つのアプリをダウンロードしたという大阪市内の40歳代の主婦は「『エージェント』があれば十分。ほかは使い方がわからず、使っていない。一つにまとめてほしい」と注文する。

あまり使われていないアプリもあり、アプリストア「グーグルプレイ」のダウンロード数は、「エージェント」が「10万回以上」に上る一方で、「グリーンチャレンジ」は「5000回以上」にとどまる。

万博協会によると、目的ごとにアプリを制作した結果、種類が多くなったという。

パビリオン独自のアプリもある。

大阪府や大阪市が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」では、専用のアプリをダウンロードすると、館内で測定した健康データやそれに基づく「25年後の自分」のアバター(分身)画像が保存できる。

来館した大阪府大東市の会社員男性(63)は「待ち時間にデータを見返せる」と歓迎する。

一方、同府門真市のガイドヘルパーの女性(73)は、専用アプリを使わなかったという。

「私にはデジタルは難しい。館内ではiPS細胞(人工多能性幹細胞)や人間洗濯機を見たが、アプリがなくても十分楽しめた」と語る。

万博協会幹部は「アプリが多くてわかりにくいという声は把握している。公式サイトにアプリが一覧できるページを作るなど、利便性を高める取り組みを進めている」と話している。

アプリの使い方がわからない場合、会場内の案内所スタッフやボランティアスタッフからサポートが受けられるという。

今回の万博では、アプリを含めてスマートフォンを使う場面が多い。

会場内の東西ゲート近くに設けられたブースでは、モバイルバッテリーの貸し出しサービスが利用できる。

このうち大阪メトロ夢洲(ゆめしま)駅と直結する東ゲート側では、会員登録不要で借りられる。

1台550円のプランや、バッテリーの充電がなくなると何台でも借り直せる1日1000円のプランなどがあり、ブースを運営する「ビジョン」(東京)の担当者は「数千個のバッテリーを用意しており、必要な時にすぐ利用できる態勢を整えている」と話す。

数は少ないものの、一部のパビリオン前には無料の充電スポットもある。

参照元:Yahoo!ニュース