パブリックコメントに大量の同一意見 「除染土の再利用」「マイナ保険証」などSNSで例文拡散

国が政策案について一般から意見を募るパブリックコメント(パブコメ)で、1万件以上の意見が寄せられたものが昨年度、現行制度で最多の10案件に上ったことが読売新聞のデータ分析でわかった。
文言・文章が同一の意見が大量にあり、いずれもSNS上に意見の「例文」を示して提出を呼びかける投稿が拡散していた。
専門家は「特定の意見が多数を占めるかのように誤解され、行政への不信を招く恐れがある」と指摘する。
パブコメは、国の行政運営の公正さや透明性の向上を図るため、政策案などを公表して広く一般から意見を募り、政策決定に活用するのが目的。
2006年度に改正行政手続法に基づく現行制度の運用が始まった。
郵送のほか、政府のオンラインシステム「e―Gov(イーガブ)」でも提出できる。
名前や住所などの記入は任意で、提出件数に制限はない。
読売新聞は、e―Govに4月20日時点で掲載されていたパブコメのうち、06~24年度に行われた計約3万4000案件(重複を除く)を分析。
1000件以上の意見が寄せられたのは、15年度以降で少なくとも計145案件確認された。
1万件以上は29案件あり、うち24年度は最多の10案件に上った。
10案件は、東京電力福島第一原発事故に伴う除染作業で発生した「除染土」の再利用、新型インフルエンザ等対策政府行動計画、マイナ保険証の関連など。
除染土のパブコメには過去最多の20万7850件の意見が集まった。
だが、実施した環境省が精査したところ、意見の96%(19万9573件)は、残りの4%(8277件)のいずれかと全く同一の文章だった。
「反対」「汚染土県外使用禁止」とだけ書かれた意見はそれぞれ約1万件あった。
残りの9案件も「同一文言が相当数あった」(厚生労働省)、「同一文言や語尾だけ変えたものが大量にあった」(総務省)という。
読売新聞が10案件についてX(旧ツイッター)の投稿を調べたところ、いずれも「参考例文」「コピペOK!」などと意見の例文を示した投稿が確認された。
除染土のパブコメでは公募期間中(1月17日~2月15日)、「(除染土を)発生場所で保管すべき」などの例文を示し、大量に意見を出すよう呼びかける投稿が拡散。
これらの例文と同一の意見が実際にパブコメに提出されていた。
参照元:Yahoo!ニュース