スマホのサブスク解約したはずが 「無駄払い」4年で10万円 「アプリ削除したのに…」 全国で相談も急増 死後に請求続くこともある”見えない契約”の注意点は

サブスクを利用している人

契約解除したと思っていた動画配信のサブスクリプション(サブスク、定額利用)の料金を、4年間払い続けていた―。

長野県千曲市の会社員女性(49)から本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班にこんな情報が寄せられた。

スマートフォン(スマホ)のアプリで手軽に映画やドラマ、音楽などを楽しめるサブスクだが、解約手続きが分かりにくく複雑な面も。

女性の事例を基に、契約時や解約時の注意点などを専門家に聞いた。

女性はNTTドコモのスマホを利用しており、2021年2月、携帯ショップでスマホの機種変更をした。

その際、2種類の動画配信サービスへの加入を勧められ、店員から「1カ月は無料。月末に解約すれば料金は一切かからない」と説明を受けた。

「やめる時はアプリをアンインストール(削除)すればいいんですか」と聞くと「そうですね」と言われたため、解約は簡単だと感じてサブスク契約をした。

女性の同意の下、アプリのインストールなどの手続きは店員が行った。

どちらのアプリも利用する機会がないと感じた女性は、月末を待たずにアプリをアンインストール。

解約できたと思って安心していたが、実際には契約は継続。

4年後の今年2月、スマホの利用プランを見直そうと請求内容の内訳を確認すると、サブスクの料金計2100円が記載されていた。

さかのぼって確認すると毎月支払っており、総額は10万円超。

女性は「全く使ったことがなかったので、本当に無駄な支払いだった」と肩を落とす。

女性は、子どもの分のスマホ利用料も一緒に払っていて請求額は毎月2万円を超えるため、月額1200円と同900円のサブスクの料金が紛れ込んでいたことに気付かなかったという。

解約方法をインターネットで調べ、IDやパスワードの入力から始まって、アンケートへの回答など10ほどの手順を踏んでようやくサブスクを解約することができた。

「サブスク加入を勧めるならば、解約手続きまでしっかり説明してほしい」と注文する。

これに対しNTTドコモの広報担当は「代理店に対して、解約を前提としたサービス提案は推奨していない」との立場。

「頂いた意見は代理店への注意喚起などにつなげたい」とした。

国民生活センターによると、スマホアプリによるものを含め、サブスク契約を巡る相談が急増しており、21年度は7461件だったが24年度は2月末までで1万3045件と1.7倍に。

「アプリを削除し利用していないのに料金を請求されて納得できない」「アプリを削除してしまい解約方法が分からない」といった相談もあった。

消費者問題に詳しい坂井田慧(けい)弁護士(長野市)は、千曲市の女性のケースについて、契約者が利用してもしなくても一定の料金が発生するのがサブスクサービスだとし「使わなかったとしても返金を求めるのは厳しい」との見解。

「理解しきれないことには安易に手を出さない意識が大切。サービス内容や条件、解約方法をきちんと理解した上で契約してほしい」と話した。

スマホでサブスクを利用する際にどんなことに注意が必要か、本紙くらし面で、隔週金曜日に「スマホで便利生活」を連載している山本岳輝(たけあき)さん(47)=INC長野ケーブルテレビ(長野市)カスタマーセンター課長=に聞いた。

山本さんは同社のスマホ事業を担当し、店頭で契約案内や操作の説明をしたり加入者の相談に応じたりしてきた。

使っていないサブスクの支払いが長期間続いてしまったという女性の例について、「アプリはサービスを受ける機能しかない。アンインストールでは解約できないので注意が必要」と話す。

山本さん自身も3、4種類のサブスクを利用しているが、解約の手続きは煩雑だと言う。

サブスクごとに解約方法が異なるため、携帯各社が運用する「お客さま専用ページ」や、サービス提供元のホームページを確認し、調べた上で手続きを進める。

そのためサブスク利用は、「解約は面倒だし、やり方も自分で調べて操作するほかないと理解した上で始めるべき」と助言する。

無料期間が終わると自動的に有料サービスになり、使っていなくても契約している限り支払いが続く場合が多い。

使わなくなったらすぐにやめる判断も必要だとし、「私自身、同じサブスクで契約と解約を繰り返すこともある」と話す。

解約時にはサービスごとに設定したIDやパスワード、登録したメールアドレスなどが必要になるため、メモなどで残しておくことを勧める。

忘れても再設定が可能だが、メールアドレスが分からなくなるとサービス提供元への問い合わせが必要になるなど、手続きがさらに増える。

特にスマホ操作に不慣れな高齢者は、携帯ショップなどでスマホを契約する際に注意が必要だ。

指定されたサブスクへの加入でスマホ利用料金に関する割引などの特典を受けられることがあり、勧められて利用を始めるケースがある。

時間がたつと、サブスク契約のことを忘れてしまうことがあるほか、本人の死後にスマホを解約してもサブスクの請求が続く場合もある。

山本さんは「解約するのが一層難しくなるという状況もあり得るので、よく検討してほしい」と呼びかけた。

参照元:Yahoo!ニュース