「強いトラウマとうつ状態」産婦人科医が証言 中2から続く父からの性的暴行に「いや、限界だ」裁判で明かされた被害者の叫び 富山地裁

父親からの性的暴行を受けた25歳女性の勇気ある裁判が続いている。
長年の被害の実態が明らかになるなかで、4月17日の公判では被害者を診察した産婦人科の医師が証言し、被害を打ち明ける女性の様子が明らかになった。
この裁判は、9年前当時高校生だった福山里帆さん(25)が、実の父親から性的暴行を受けたとして訴えているものだ。
父親の元会社役員、大門広治被告(53)が性的暴行をしたとして準強姦の罪に問われている。
「強いトラウマとうつ状態にあると感じました」
4月17日、富山地方裁判所で行われた第3回公判。
約20年のキャリアを持つ産婦人科医が証言台に立ち、被害者・福山里帆さんの診察時の様子について、小声で目を合わせず会話が途切れがちだったなどと述べた。
里帆さんへの性的暴行は中学2年生の頃から始まっていたとされている。
診断時「(性的行為は)いや、限界だ」と里帆さんが繰り返し訴えていたという。
証言からは、里帆さんが長年被害を訴えられなかった背景に妹への懸念があったこともわかった。
「自分がいなくなったら妹に被害があるかもしれない」という里帆さんの言葉に、医師である証人は「もし妹に手を出すのならもう今頃出しているはずだから自分のことだけ考えて逃げなさい」と助言したという。
また、DNA検査の実施をめぐって、複雑な事情があったことも明らかになった。
「将来証拠になる」と証人が説明したものの、里帆さんは交際相手がいることを理由に断ったという。
「彼氏が性犯罪者になったらどうしよう」という里帆さんの懸念が、証拠保全の難しさを物語っている。
これまでの公判で里帆さんは勇気を持って自らの体験を語り、被害の実態を明らかにしてきた。
産婦人科医である証人の言葉は、里帆さんの証言の信ぴょう性を裏付けるものになるかもしれない。
特に診察時の様子や里帆さんの言動に関する具体的な描写は、被害の深刻さを示す重要な証拠となる可能性があります。
この裁判は、富山県内で起きた痛ましい事件として地域社会に大きな衝撃を与えている。
家庭内での性的虐待という深刻な問題に光を当てることで、同様の被害に苦しむ人々への支援の必要性や、性的被害の発見と防止の重要性が改めて認識されている。
裁判の進展に伴い、被害者の人権保護と加害者の処罰のバランスをどのように取るかが、社会的な議論の焦点として注目される。
今後の日程から見ていく。
- 証人尋問の予定
今後の公判では、里帆さんの証言を裏付けるために、複数の証人尋問が予定されている。具体的には、6月2日に児童相談所の職員が証言台に立ち、里帆さんの家庭環境や過去の相談内容について証言するとみられる。また、6月11日または18日には、里帆さんの母親が証人として出廷し、家庭内での状況や里帆さんの様子について証言するとみられる。 - 被告人質問
7月17日には、被告人質問が行われる予定だ。この場では、被告人である父親に対して、里帆さんの証言内容に関する質問が行われ、被害の事実関係がさらに明らかにされるかが焦点になる。被告人の供述が里帆さんの証言とどのように一致または矛盾するかが、裁判の行方を左右する重要なポイントとなる。 - 論告求刑
8月27日には、論告求刑が行われる見込みだ。ここでは、検察側がこれまでの証拠や証言に基づいて、被告人に対する求刑を行う。里帆さんの証言がどの程度信ぴょう性を持ち、裁判官にどのように受け止められるかが、求刑の内容に大きく影響するだろう。 - 判決の見通し
最終的な判決は、これらの証言や証拠を総合的に判断した上で下される。里帆さんの証言が裁判の中心的な要素となるため、その信ぴょう性が認められれば、被告人に対する厳しい判決が下されるかが注目される。一方で、証言の信ぴょう性に疑問が生じた場合、判決が減刑される可能性もある。 - 社会的影響
この裁判は、家庭内での性的被害という深刻な問題に対する社会の関心を高める契機となっている。このような事件では被害者保護の観点から、匿名で行われることも多いが、被害者である里帆さんはこれまで実名で被害を訴えている。証言が広く報道されることで、同様の被害に苦しむ人々への支援の必要性が再認識され、社会全体での対応が求められることになりそうだ。
参照元:Yahoo!ニュース