片瀬那奈さん「すべてをリセットしたかった」「会社員となった今が幸せ」30代で芸能界を離れた《“大転換”人生》の真相

マイクを撮影した画像

20年以上、働いてきた環境を離れた心境はいかなるものか。

芸能界を離れ、41歳で一般企業へと転職した片瀬那奈さん。

40代目前で「この先どんな自分でいたいか」と迷った時期に、偶然か必然か、知人の事件に巻き込まれて「芸能事務所を退所する」選択肢をみずから選んだ。

今では、シンプルに「すべてをリセットしたかった」という思いの末に進んだ道で、セカンドキャリアを謳歌。

「幸せ」だと胸を張る人生はうらやましく、そう語る表情に背中を押された。

40代で「セカンドキャリア」へと進んだ片瀬那奈さん。

女優やタレントとして、17〜39歳を過ごした芸能事務所から退所したのは、2021年9月だった。

約1年3カ月後、2022年12月には41歳でファッション通販サイト「ロコンド」や「Reebok」などを運営するジェイドグループ株式会社へと転職。

オファーによって仕事を「与えてもらう」環境から、自発的にコミットする環境への変化もあった。

ただ、とまどいはなく「自由にやりたいこと」を貫けているという。

そう言い切る背景にあった転職前後の心中。

そして、今描く将来像とは。

スカウトによって、17歳で芸能界に入った片瀬さん。

もともとは「メイクアーティスト」への憧れがあり、タレントとして「メイクされる側を経験できれば」という軽い気持ちで飛び込んだ。

キャンペーンガール、モデルを経て、18歳でドラマへ出演して女優デビュー。

以降、数々の人気作品で存在感を示し、2011年放送開始の情報番組『シューイチ』では29〜39歳の10年間、中山秀征と共に、MCも務めた。

芸能界では「目の前のことを全力でやっていれば明日が来る」との思いで、過ごしていたという。

しかし、40歳を前にして「このままずっと、この仕事を続けるのかな?」と迷いもあった。

偶然か必然か「この先どんな自分でいたいか」と考えはじめた矢先、知人が麻薬取締法違反容疑で逮捕され、片瀬さんにも疑惑の目が向けられた。

みずからすすんで尿検査を提出して潔白を証明したが「周りに迷惑をかけた」との思いがぬぐえず、長年、お世話になった芸能事務所を退所する選択肢を選んだ。

「自分の犯したことであれば、反省して償えるじゃないですか。でも、他人のとばっちりで事務所や関係者に迷惑をかけてしまう状況になって、もう『疑惑を払拭するために頑張ろう』という気力を失っていました」

芸能界を辞めようとは思わなかった。

それでも、シンプルに「すべてをリセットしたかった」と振り返る。

退所の決断は偶然にも、芸能人として「片瀬さんに頼んでよかった」と思ってもらえるよう「他人軸」で生きてきた人生の転換点となり、片瀬さんが「自分を大切にしないといけない」と、みずからの生き方を見つめ直すきっかけにもなったという。

2021年9月、39歳で芸能事務所を退所してからは、ガンプラ、K-POP、キャンプ……と、みずからの趣味を前面に出したYouTubeチャンネルを開設。

「多趣味すぎて、このまま埋もれさせるのはもったいない」として、勢いで作ったYouTubeチャンネルが転職のきっかけを生んだ。

転機となったのは、現在働くジェイドグループ株式会社の代表取締役社長である田中裕輔さんからの「一緒に何かやりませんか?」という1通のメッセージ。

当初は、コラボ企画の案もあったが、「中途半端にやりたくなかった。ならばいっそ、会社員になってしまおう」と考えた片瀬さんは、じつに潔い。

芸能界では「与えられたものにどう返すか」を軸に、生きていた。

しかし、会社員となった現在は「会社の成長」をめざして日々、「ゼロから何かを生み出せて、1を100にもできる環境」での楽しさを味わっている。

「40代で新たな刺激を受けながら働けるのって、ありがたい。周りからも『今の仕事、那奈ちゃんにすごく合ってる』と言われます。年齢を重ねるとプライドを捨てきれなかったり、弱音も吐ききれなくなったりしますけど、すべて取っ払うと世界が広がるんです」

10代で芸能界へ入った当時、出演者の立ち位置を示す「バミリって何ですか?」など、興味本位で「何でも聞いていた」という片瀬さん。

現在、身を置く会社への入社時には、取り扱うブランドが「いつ創業されたのか?」「どんなコラボをしてきたのか?」など、みずから学ぶ探究心もあったという。

初心を忘れずに、40代で“社歴3年目”の会社員として「頼れる仲間から学べる環境が楽しい」とほほえむ。

会社では、プレス、マーケティング、社長室……とさまざまな役割をこなす現在。

せっかちな性格のため、「仕事を早く終わらせたいんです。期限が1週間後であってもその日のうちに仕上げたいタイプ」だと自負し、次から次へと仕事が舞い込んでくるため「うまく手を抜く」のが課題だと笑う。

会社員としての目標は「社長の左腕」とも。

いわゆる「右腕」として、経営陣の一員として伴走する役割ではなく「会社の空気をやわらげ、周囲が働きやすくなるようなサポートをしていければ」と意気込む。

かたや、より広く「人生」においての将来像はどうか。

片瀬さんは「決まったレールを歩くのが好きではなくて、これまで『幹は1本で枝がたくさん分かれている』ような生き方をしてきた」としみじみ語る。

「選択肢はいろいろあるし、必要となったら選べばいいと思うんです。何か決断するときは、目の前にある空気感を大切にしていて。たとえば、自宅選びでも細かな条件ではなく、『ここ、なんかいい』という直感に任せて決めてきたし、何事も直感に任せるほうが成功確率も高かったので、これからもスタンスは変わらないと思います」

ありのままで生きる。

月並みな表現ではあるが、片瀬さんの人生はそう形容するほかなく、うらやましい。

刺激を求めていた若い頃と比べて「帰宅後に猫とじゃれたり、なんでもない時間が楽しい」とも。

会社員となった今が「幸せ」と自信を持って話す、肩の力を抜くかのような生き方には背中を押された。

参照元:Yahoo!ニュース