国語便覧、突如SNSで注目 まさかの過去最速完売「情報量えげつない」「これぞ教養」「コスパ最強」の声

SNSの情報をチェックしている人

「過去最速で完売になってしまいました…。担当者は若干恐怖を感じています」。

国語の授業でおなじみの国語便覧。

突如SNSで注目され、一時品切れになる事態になった。

一体何が起こったのだろうか。

出版社に聞いた。

国語の「副教材」として知られる国語便覧。

教科書より分厚くて重く、置き勉が禁止されていた時代に学生時代を過ごした方々にとっては、通学時に重くて苦労した記憶もあるのではないだろうか。

先日、国語便覧を出している出版社の一つ、第一学習社のX(旧ツイッター)アカウントがこんな投稿をした。

「いままでにないペースで売れてて震えています」

「過去最速で完売になってしまいました・・・。担当者は若干恐怖を感じています。買えなかった方には大変申し訳ありません・・・。来週に向けて再販の準備しますので、何卒お待ち下さい!!」

完売を報告した投稿の表示件数は333万回を超えている。

SNSでは、国語便覧の情報量の多さや、価格に関して驚く人たちが相次いだ。

「情報量えげつないです」

「カラー多くて950円は安すぎでは???」

「あれだけの情報量のカラー冊子を950円で買えちゃうのがもう奇跡だと思う」

「これぞ教養って感じの集合体」

「ほんと情報量多くてまとまってて安くて大人が読むにもコスパ最強」

その後、オンラインショップで販売が再開されたが、アクセスが集中して一時不具合が発生する事態にもなった。

いったい国語便覧に何が起こっているのか。

第一学習社の担当者の方にお話を伺った。

「弊社は高等学校向けの教材を発行している出版社で、あまり一般の方、とくにSNSかいわいで大きく注目される機会がありませんでしたので、今回の動きについてはたいへん驚いております」という。

第一学習社は、1948年創立の教育図書の総合出版社。

文部科学省検定高等学校教科書(英語・数学・国語・理科・地歴・公民・保健体育・家庭・情報)のほか、学習図書、視聴覚教材、学術図書の出版なども幅広く手がけている。

「カラー版新国語便覧」は1990年初版。

累計販売部数は非公開ですが、30年以上にわたって全国の若者の国語学習をサポートしてきた。

なぜここに来てSNSで注目を集めたのか。

SNS上の投稿を見ると、文学とメディアミックスの好調さが背景として浮かんできた。

文学を採り入れたゲームやアニメ、マンガの愛好者が、国語便覧の持つ情報量に着目したことが要因の一つと考えられるといいます。

「文豪とアルケミスト」、「文豪ストレイドッグス」、「刀剣乱舞」、「Fate/Grand Order」。

いずれも大人気のコンテンツだが、作中で文豪が重要な役割を果たしたり、歴史や文化が描かれたりしている。

キャラクター化された文豪が、実際にはどんな人物だったのか。

国語便覧を開けば、残した作品だけでなく、その人となりも知ることができる。

また、創作活動をしている人の資料として活用されている面もあるようだ。

第一学習社は人気の背景として、「(国語便覧が)国語に関連する、実に幅広い情報を扱っている、という点があげられるかと思います」と分析しているという。

それだけではない。

「(国語便覧が扱っている情報は)古典文学や近現代文学だけでなく、評論テーマや現代文重要語彙に関する情報、プレゼンテーション・リポート・小論文など、表現のしかたに関する情報など、多様です」

「今回Xでも話題になったように、高校生にも興味を持ってもらいやすいよう、マンガやゲームといった題材も紹介しながら、国語の学びにつなげていくための工夫を取り入れています」という。

第一学習社のカラー版国語便覧はB5判520ページのボリューム。

「古文の学習」「現代文の学習」「漢文の学習」「表現の学習」「言葉の学習」の5部で構成され、「古文の学習」から「表現の学習」までフルカラーだ。

作家や評論家の紹介だけでなく、貴族、武士、庶民などの仕事や生活実態を図版や写真で紹介した特集があったり、新傾向入試を見据えた「記述問題・論述問題(小論文)対策」が用意されていたり。

「古文重要単語300」も掲載されている。

索引もただの索引ではない。

「ビジュアル索引」と題し、時代やジャンル、人物などの観点から、文学史をマッピングした力作だ。

第一学習社が公開している国語便覧の編集者による座談会では、国語便覧について編集者同士が熱く語り合っている。

出席者の一人は、「高校生だけでなく、一生使っていける本になっていると思う」と語っている。

この内容で950円(税別)で販売されている。

国語便覧も、時代と共に進化しているという。

各ページにある二次元コードを読み込むと、国語便覧専用ウェブページへジャンプする。

専用ウェブページでは、国語便覧の内容に関連する、さまざまな外部のウェブリンクが案内されるという。

また、デジタル便覧(別売り)も発売。

本と同じ情報をスマホ・タブレット・パソコンで見ることができる。

重い本を持ち運ぶ苦労をせずに、学校でも自宅でも国語便覧の情報を参照できる。

全文からテキスト検索ができ、紙面に自由に文字や線が書けるペンツールもある。

Googleフォームで解答ができる一問一答も用意されています。

クラウドで配布から集計までできるという便利な機能だ。

今後の販売については、「予想を大きく上回るお問い合わせとご注文をいただいており、大変ありがたく感じています。弊社書籍は学校専売品としての販売が主であり、オンラインショップでの販売は手作業による個別配送での対応となるため、一度に多くの販売ができかねる状況でした。そのため、現在は人員の増強なども検討しております」とのことだ。

再販開始は5月9日の予定だ。

参照元:Yahoo!ニュース