世界の公的債務、30年にGDP比99.6% 関税でコロナ禍超え IMF

国際通貨基金(IMF)は23日公表した「財政モニター」で、米政府の関税措置が景気減速と貿易の停滞を招き、政府予算を圧迫する結果、世界の公的債務総額が2030年に域内総生産(GDP)比99.6%に達すると予測した。
新型コロナウイルス流行時の水準を上回る見通し。
25年の予測はGDP比で2.8%ポイント増の95.1%。
世界の公的債務総額は新型コロナが流行した20年に、支援策の導入に向けた多額の借り入れや生産縮小を背景にGDP比98.9%に達した。
IMFは「米国による大規模な関税発表、他国の報復措置、極めて高い政策の不確実性が、経済見通しの悪化とリスクの高まりにつながっている」と指摘。
防衛費・社会保障費の増額ニーズやインフレに伴う利払い費増加のリスクが財政を圧迫しているとの見方を示した。
25年の財政赤字総額はGDP比5.1%の見通し。
24年は5.0%、22年は3.7%、20年は9.5%だった。
また「関税引き上げや経済成長見通しの悪化により、歳入と経済生産が現時点の予測を大幅に下回る」非常に厳しいシナリオでは、27年の公的債務総額がGDP比117%を超え、第2次世界大戦後で最大となる可能性がある。
国別では、米国の財政赤字がやや改善する見通し。
25年の予測はGDP比6.5%、26年は5.5%。
24年は7.3%だった。
関税収入の増加と経済成長の持続が背景。
中国の財政赤字は25年にGDP比8.6%に急増する見通し。
24年は7.%だった。
26年の予測は8.5%。
IMFは各国に対し、公的債務の削減を優先し、将来の経済ショックに備えて財政余力を確保するよう求めた。
参照元:REUTERS(ロイター)