アメリカ和平案、ロシアによる4州占領容認 クリミア支配も承認にゼレンスキー氏「我が国の領土だ」

ロシアによるウクライナ侵略の和平交渉を巡り、米ニュースサイト・アクシオスは22日、米国が双方に提示した和平案の全容を報じた。
停戦の見返りに米欧各国の対露制裁を解除し、ウクライナ東・南部4州のほぼ全域についてロシアの占領を事実上認めることが柱だ。
「ロシア寄り」が色濃い提案にウクライナ側は反発しており、合意の行方は見通せない。
報道によると、提案は1ページの文書で、トランプ大統領の「最終提案」として17日にウクライナや欧州主要国に示された。
文書では、2014年にロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島の支配を米国が承認することを明記。
ロシアが支配している4州のほぼ全域の占領も非公式に認め、現在の戦線を凍結する内容となっている。
米欧各国はクリミア併合後に対露制裁を強化したが、文書では14年以降に科された制裁の解除も掲げた。
ロシアが求めているウクライナの北大西洋条約機構(NATO)非加盟を「約束」する一方、文書では欧州連合(EU)加盟を容認する方針が示された。
ウクライナ側の要望も踏まえ、ロシアの再侵略を抑止するための「強固な安全の保証」として、欧州有志国などで構成する平和維持部隊のウクライナ駐留を認める。
ロシアが占領中のウクライナ北東部ハルキウ州の一部地域を返還することに加え、ウクライナの再建に向けた「補償や支援」も盛り込まれたが、誰が補償するのかは明示されなかった。
南部のザポリージャ原子力発電所の周辺地域は米国が管理する方針も掲げられた。
一方、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は22日、ロシアのプーチン大統領が現在の戦線で停戦することを米側に提案したと報じた。
露西部サンクトペテルブルクで今月、米政権のスティーブン・ウィトコフ中東担当特使と会談した際に伝えたとしている。
ロシアはこれまで4州について、ウクライナの支配地域を含む全域をロシア領として認め、ウクライナ軍が撤退するよう一方的に主張していた。
報道が事実とすれば、プーチン氏が一定の譲歩を示した形だ。
米国とウクライナ、欧州主要国は23日にロンドンで会合を開き、米国の和平案について協議するとみられる。
ロイター通信などによると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は22日、キーウでの記者会見で、クリミア半島について「我が国の領土だ」と述べ、ロシアによる領有を認めない立場を強調した。
参照元:Yahoo!ニュース