ファナック、26年3月期業績予想を見送り 米関税影響慎重に見極め

事業の業績をチェックしている人

ファナックは23日、現時点で合理的に算定することが困難として2026年3月期の業績予想の開示を見送った。

山口賢治社長は会見で「いくつかシュミレーションをしたものの、確からしい選択をすることができない」と説明。

米関税の影響を慎重に見極め、合理的な算定が可能となった時点で速やかに開示するとした。

山口社長は「米関税の影響、それに伴う世界経済への影響、為替動向、地政学的リスクなど不透明な要素が多々あり、総じて予断を許さない状況が続く」と懸念を示した。

米関税については、短期・中期・長期で影響が異なってくると指摘。

短期的には先行きが読めないため、顧客からの受注が遅れる可能性があるとした。

また、高い関税率で決まれば、顧客が設備投資に慎重になり、受注が減る可能性もあるという。

国の間での関税率の差や為替の動向も注意が必要とした。

一方、関税問題が決着した後は「米で製造業拡大のフェーズになれば、大きなビジネスチャンス出てくる」とした。

米国内の人手不足により自動化のためのロボットなどの需要増につながるとみている。

関税が上乗せされた場合、個社で吸収できるレベルではないとし「サーチャージとして転嫁する方向で検討する」と述べた。

IBESがまとめたアナリスト22人のコンセンサス予想では、26年3月期通期の連結営業利益の平均値は1827億円だった。

25年3月期の連結売上高は前年比0.2%増の7971億円と、23年3月期に次ぐ過去2番目の高水準となった。

営業利益は同11.9%増の1588億円と、会社計画の1523億円からやや上振れて着地した。

為替の実績は1ドル=152.58円、1ユーロ=163.75円。

1―3月期の営業利益は484億円で前四半期比38.5%増だった。

受注高もロボットを中心に同5.1%増の2114億円と増加した。

地域別では、中国を除くアジアと米州が2桁増となった。

同社はインド市場に23カ所の拠点を有しており、活動を積極化させている。

同日、発行済み株式の1.34%に当たる1250万株・500億円を上限とする自社株買いを行うと発表した。

取得期間は5月1日から2026年4月30日まで。

また、自社株の保有は発行済み株式総数の5%を上限としているため、超過する部分に相当する1.31%を5月30日に消却する。

参照元:REUTERS(ロイター)