米国防総省、ヘグセス長官のずさんな情報管理や側近解任で大混乱

米国防総省はヘグセス国防長官のずさんな情報管理や側近の解任などを巡り、大混乱に陥っている。
トランプ大統領はまだヘグセス氏を擁護しているが、このままでは安全保障上の重大な問題に対処できなくなるとして野党民主党などからヘグセス氏辞任を求める声も強まってきた。
ヘグセス氏はトランプ氏の意向を受けて国防長官に就任すると、多様性の取り組み廃止を進め、こうした取り組みを支持した制服組の幹部を相次いで解任するなど荒療治を行ってきた。
ただヘグセス氏は、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する3月の空爆作戦の詳細を通信アプリ「シグナル」のチャットグループで妻や弟らと共有していたと報じられ、厳しい目が向けられている。
ホワイトハウスのレビット報道官は「国防総省(の組織)全体が、画期的な改革とそれを実行しようとしている人物(ヘグセス氏)に反対する働きをしている」と主張し、省内にトランプ政権の政策を妨害する動きがあると示唆した。
トランプ氏も21日、ヘグセス氏について「素晴らしい仕事をしている。彼は多くの悪人を排除するために起用され、今まさにそれに取りかかっている」と記者団に語った。
一方国防総省では最近、別の機密情報漏えいに関わった疑惑で調査を受けていた高官が相次いで解任された。
このうち2人はヘグセス氏の上級顧問コードウェル氏と次席補佐官セルニック氏という側近中の側近で、ヘグセス氏は今後職務遂行に支障を来しかねなくなっている。
ある国防総省高官は、制服組幹部の解任や側近の退場で省内は不透明感が漂っていると指摘。
そもそもヘグセス氏は安全保障上の政策を明確に発信するよりも、SNS上で自身を支持する保守層に向けて些細な問題を投稿する方を重視していたように見えると批判した。
ヘグセス氏の国防長官指名に関しては、上院による承認が僅差で決まり、多くの議員が同氏の経験不足や性格的な面に懸念を示していたという経緯がある。
身内の共和党内からも、上院軍事委員会のウィッカー委員長がヘグセス氏のシグナル使用について国防総省の独立監査官に調査を要請するなど問題視する動きが出ている。
民主党のスロトキン上院議員は「ヘグセス氏は国防総省を混沌とした場所にしてしまった。彼が同省のことを気にかけているなら、もっと毅然として自分が米軍の使命を妨害していると認識した上で辞めるべきだ」と強調した。
参照元:REUTERS(ロイター)