「え!マジですか」トランプ関税に揺れる“半導体”の製造現場 取材中に突然電話「発注減る可能性」に困惑隠せぬ日本企業

日本とアメリカの国旗を撮影した画像

日米交渉の行方に気をもむのは、新たに関税の対象として挙げられた半導体関連の製造現場だ。

フジメタル営業部 廣田凌佑 課長「我々が交渉することはできないので、やっていただくのは政府の方々。何とかしてでもやって(国益を守って)ほしいという思いはある」

こちらの会社は、アメリカなどへ半導体の製造装置を輸出する大手企業から、部品の発注を受けていて、売り上げのおよそ8割を占めている。

フジメタル営業部 廣田凌佑 課長「本当にコロコロ変わっちゃうと、こちらが毎日毎日不安がずっと募っていく一方なので。正直トランプさんに一番怒りは感じてますね」

半導体についてトランプ政権は、いったんは、相互関税の対象から除外すると発表。

ところがその2日後、トランプ氏は「別のバケツに移し替えるだけだ」として、別枠で関税を課すことを表明した。

――(半導体関税が)今後かかりそうという風になっていますが

フジメタル営業部 廣田凌佑 課長「我々の会社として、大きな影響は無く済むかなと思っていたら、翌日とかに適用するという報道が出たので。会社にも大きな影響、可能性はあるよねって」

不安が募るなか取材中、突然かかってきた電話。

フジメタル営業部 廣田凌佑 課長「(電話に出て)大丈夫ですか?廣田です。お世話になります。え!マジですか」

――今のお電話はどちらから?

フジメタル営業部 廣田凌佑 課長「大手お取引様からのお電話で、先方の方ではちょっと影響が出てるっていうような状況です」

発注元の大手企業にはすでに影響が出始め、今後、発注数が減ってしまう可能性を伝えられたという。

関税対象として、鉄鋼や自動車などと同様、特別にターゲットにされた半導体。

トランプ政権が念頭に置くのは、この国のようだ。

14日、半導体の別枠での関税に、すぐさま反応したのは中国。

中国外務省 林剣 報道官「関税戦争や貿易戦争に勝者はいない保護主義には出口がない」

トランプ関税で新たに半導体が対象となるなか、19日、北京で開かれたマラソン大会。選手と並んで走るのはロボット。

AIによる制御など半導体技術を結集してロボット開発に力を入れる中国。

世界で初めて、人とロボットのマラソン大会を開催し、その技術力をアピールしたのだ。

ロボット企業担当者「中国の技術は世界トップレベルです。私たちにはアメリカを超えるチャンスがあります」

15日から広東省で開かれた中国最大規模の国際見本市でも、多くのブースでロボットが展示されていた。

そこで聞かれた声は、

出展企業の担当者「私たちの考えはヨーロッパ市場への移行に強く傾いています」

出展企業の担当者「当社は北米市場は様子見の姿勢です。市場をASEAN地域に移すことにしました」

輸出先としてアメリカ以外への販路を拡大しようとする動き。

14日から習近平国家主席が歴訪したのは、東南アジアの国々だ。

最初に訪問したベトナムでは、最高指導者のトーラム書記長が出迎える歓迎ぶり。

ベトナムにとって、中国は最大の貿易相手国だ。

習近平 国家主席「両国は手を携えて前進すべきだ」

共同声明では、トランプ政権を念頭に「一国主義への反対」を表明。「差別のない多国間貿易体制を維持する」と牽制した。

次に訪れたマレーシアでは…

習近平 国家主席「単独行動主義と保護主義という逆流をはねのけ、アジアというファミリーのより良い未来を守る」

さらにカンボジアでは、国王自らが出迎え、「この訪問は歴史的な意義を持つ」と中国に寄り添う姿勢を強調した。

アメリカに対抗して東南アジア諸国を取り込む姿勢の中国に、トランプ氏は…

トランプ大統領「どうやってアメリカから騙し取ろうか考えようとしているのだろう」

米中の直接交渉をめぐっては…

アメリカ・レビット報道官「ボールは中国側にある。取引を必要としているのは中国であって我々ではない」

中国外務省 林剣 報道官「もしアメリカ側が本当に対話や交渉で問題を解決しようとするなら、圧力や脅迫をやめるべきだ」

2大経済大国の関税戦争は、どこへ向かうのだろうか。

参照元:Yahoo!ニュース