「迷子さんですか?」焦る母親を助けた高校生2人 捜索に加わり5歳児保護「声かけないと後悔する」

「お母さんが子どもの名前を何回も大きな声で呼んでいて…」。
そう語るのは滋賀県立大津高3年の田山さくらさん(18)=滋賀県栗東市。
所属する吹奏楽部の後輩の1年安田莉愛さん(16)=滋賀県守山市=とともにJR守山駅で見かけた光景は、迷子になった5歳の男児を必死に探す母親の姿だった。
2月11日午後5時半ごろ、2人は部活動を終え、守山駅を出たところで異変に気付いた。
改札前で焦った様子の女性が子どもの名前を何度も叫んでいた。
周りの人も気にしている様子だったが、誰も声をかけない。
「自分が声をかけないと」。
安田さんはそう思ったが、最初は見ているだけだった。
しかし、女性の声が一度離れ、再び近づいてきた時、「普通じゃない」と直感した。
田山さんが「迷子さんですか?」と声をかけると、女性は「そうです」と応じた。
子どもの服装と年齢を聞き、捜し始めた。
「お母さんは結構焦っていて、あまり周りが見えていない状態だった」と田山さんは振り返る。
30分ほど後に、約400メートル離れた薬局の駐車場で、1人でいた男児を見つけた。
名前を呼ぶと反応があり、落ち着いた様子で「お兄ちゃんとお母さんと車まで競争してた」と言い、迷子になった自覚はなかった。
3月12日に滋賀県警守山署で2人に感謝状が贈られた。
大菅勝司署長は「人に親切にする、困った人を助けるという気持ちは大人になっても持ち続けてほしい」と2人をたたえた。
なぜ他の人が声かけをためらう中で、行動に移せたのか。
田山さんは「困っている人に話しかけるのには抵抗がない。何もできなかった方が後から後悔する」と迷いなく答えた。
見つかった後に母親から言われた「一緒に捜してくれてありがとう」との言葉に安田さんは「人の役に立ったなと実感した。これからも困っている人には自分から声をかけられるようにしていきたい」、田山さんは「こういう言葉をもらえると思っていなかった。困っている人がいたら助けるのは当たり前のこと」と話した。
参照元:Yahoo!ニュース