経営難の私大・短大174法人、19法人は「自力再生困難」 少子化・物価高が拍車

私立の大学や短大を経営する学校法人の4分の1にあたる計174法人が経営難に陥っていることが11日、日本私立学校振興・共済事業団の調査でわかった。
このうち19法人は、自力再生が極めて困難な「レッドゾーン」に分類された。
少子化に加え、最近の物価高が経営悪化に拍車をかけている。
経営難と判定された学校法人数は、昨年調査から38法人増え、過去最多となった。
事業団は文部科学省が所管し、私学助成金の分配や経営支援を担っている。
大学・短大経営からの撤退や、他法人との合併、学部の譲渡などの対応を求めている。
調査は、大学や短大を運営する全国661の学校法人が対象。
各法人が2024年6月までにまとめた23年度決算について、▽教育に関連する収支が直近3年のうち2年以上赤字▽負債が運用資産を超過している――など八つの指標を用いて分析し、経営状況を4段階に分類した。
その結果、19法人(2.9%)が、在学生が卒業するまでに経営破綻の恐れがあり、「自力再生が極めて困難」な状態にあった。
155法人(23.4%)が「経営困難な状態」にあり、合計で174法人が経営難にあると判定された。
また、経営指標に悪化の兆候がみられ、経営困難な状態の「予備的段階」とされたのは182法人(27.5%)。
一方、経営が「正常な状態」とされたのは305人(46.1%)で初めて半数を割り込んだ。
事業団は「少子化で学生募集が厳しくなっていることに加え、光熱費の上昇で収支バランスが悪化している学校法人が増えた」と分析している。
事業団が最も懸念しているのは、在学生がいる間の経営破綻だ。
乱脈経営により資金繰りが悪化した創造学園大(群馬県)のケースでは、文科省が13年に学校法人の解散命令を出し、在学生約150人の受け入れを各地の大学に要請するなど、混乱した。
事業団が昨年3月に改定した経営改善に向けたハンドブックでは「資金がないと撤退もできない。早期に学生募集停止の決断を行うことが大切」だと説明。
計画的な撤退を促している。
18歳人口は、1992年に205万人だったが、今年1月時点では109万人。
2040年には74万人まで減少する見通しだ。
文科省の中央教育審議会が今年2月にまとめた答申では、大学の統廃合や定員削減を進めて「規模の適正化」を求めている。
参照元:Yahoo!ニュース