偽アカウントからドゥテルテ氏擁護の投稿拡散、選挙に影響も

SNSの情報をチェックしている人

フィリピンのドゥテルテ前大統領が違法薬物対策を巡る「人道に対する罪」の疑いで国際刑事裁判所(ICC)に移送された後、同氏を擁護する投稿が偽のSNSアカウントから拡散されていたことが明らかになった。

イスラエルの調査会社サイアブラは、ドゥテルテ氏の逮捕についてXで5500件以上のポストとリプライを投稿した1890のアカウントを分析した。

同社によると、約3分の1が偽アカウントで、これらのアカウントから1300件以上のポストが投稿されていた。

「いいね」やリプライ、シェアなど反応は7000件以上に上り、閲覧数は1180万回以上に達した可能性があるとの見方を示した。

これらのアカウントは高度な技術を駆使しており、実在の人物と区別することが困難だったという。

偽アカウントの出所は特定できていないものの、出所は単一である可能性が高いとしている。

同社は偽アカウントによって作成された投稿の内容について、ドゥテルテ氏への国民の支持を強化し、同氏の功績をたたえ、同情的な雰囲気を作り出すという明確な目的を示唆していると分析。

「意図的かつ組織的な」キャンペーンだったと結論付けた。

サイアブラはまた、偽情報の急速な拡散が、5月の統一国政・地方選挙(中間選挙)を巡る議論に影響を与え始めているとの見方を示した。

サイアブラのダン・ブラミー最高経営責任者(CEO)は「フィリピンで見られたのは単なる偽情報の急増ではない。これはデジタル戦争だ」と警鐘を鳴らした。

「フィリピンでこれほど明確に起きていることが他の地域で起こっていないと考えるのは楽観的過ぎる」と述べた。

政治アナリストのビクター・マンヒット氏は、ドゥテルテ氏を支持する偽情報が拡散した結果、同氏がマルコス政権の命令でICCに拉致されたという説を支持する人が増えていると指摘した。

参照元:REUTERS(ロイター)