「天国ってどんな感じなんだろう?」10歳娘に余命宣告“あと半年” 母「あの子が生きられるならすぐにでも代わってあげたい」家族の葛藤と覚悟

葬式をイメージした画像

「天国ってどんな感じなんだろう?」

そう話すのは小川蘭さんの次女・いろはちゃん。

10歳で小児がんと闘い、3年前にこの世を去った。

小川さんは「(医者から)余命はあと半年かなって言われた。もう頭真っ白で何も考えられなかった」と振り返る。

突然告げられた愛する娘の余命宣告。

限られた時間の中で、家族はその現実とどう向き合い、そして、別れの覚悟をどう受け入れたのか。

いろはちゃんは4人きょうだいの次女。

面倒見の良いしっかり者で元気いっぱいの毎日を過ごしていた。

ところが、大好きなスケートの練習中、突然身体に異変が起きた。

スケート講師の津留豊さんは、当時について「通常と違うバランスの崩し方をしていたので明らかにおかしいと思って、すぐに小川さんにお話させていただいた」と振り返る。

念の為、病院で受診したところ、小児がんの一種「脳幹グリオーマ」と診断された。

呼吸や心臓の動きを司る「脳幹」に腫瘍ができる疾患で、未だに有効な治療法がない難病。

そして告げられたのが、「娘さんの余命は、半年です」。

小川さんは、当時の心境について「交通事故だったら一瞬でさようならだけど、あなたには半年あるから、半年かけて覚悟してくださいと言われて…。誰の話をして、何を言ってて、この先生は間違ってない?ってことの方が大きかった」。

現実を受け止めきれないまま、闘病生活が始まった。

奇跡を願い、治療を続ける毎日。

しかし、病気の進行を止めることは難しく、次第に右半身の麻痺が始まった。

それでも、毎日左手で勉強を続け、料理も手伝っていた、いろはちゃん。

元気だった生活に戻れるよう、懸命に努力していた。

しかし、日に日に悪化する症状に、小川さんの心境にも変化があったという。

「この子はもう亡くなっていくんだろうなって思った。だんだん悪くなっていく娘を見ていく中で、覚悟が決まっていく」。

助からないのだとしたら、せめて後悔はしたくない。

小川さんはより一層家族との時間を大切にし、一緒にいれる幸せを噛み締めるようになった。

そして、旅行にも行った。

「色々な話をした。今までの学校のこと、スケートに対して思ってること。ママに怒られたときは心の中でクソババアって思ってるとか(笑)。自分の想いや彼女の想いをちゃんと伝えられたし、聞いてあげられた時間だった」(小川さん)

そうした中、別れの時は刻一刻と近づき、「正直もう(いろはちゃんの)痛みもすごい。最終的に、楽にしてあげたいと思った。本人にも『頑張らなくていい』って言った。もう頑張らなくていいって…そうしたら本人は、頷いていた」。

余命宣告からちょうど半年後の2022年3月、いろはちゃんは旅立った。

小川さんは、「あの子がこの世界で生きることができるなら代わってあげたい。すぐにでも代わってあげたい」と繰り返す。

闘病中、いろはちゃんには、いつでも家族と繋がれるようにスマートフォンを持たせていた。

その写真フォルダを覗いてみると、大好きな家族の写真が溢れていた。

最後まで、いろはちゃんには余命を明かさなかった小川さんだが、「『病気になったのがママじゃなくて自分でよかった』って言われた。それを聞いたとき、この子もしかして、わかってるのかなって…」。

そして、小川さんは現在、小児がん支援「168レモネードスタンド」の活動をしている。

「レモネードを売ったり、グッズを売ってそれを小児がん研究センターに寄付したり、あとは闘病中の子どもたちにプレゼントを届けたりしている。ぜんぶは寄付や、みんなが協力してくれてるお金で私たちは活動できている。それをもっと多くの人に知ってもらいたい。届くべき場所に、この声が届くことによって、日本の薬事法では使えない薬もたくさんあって、それを日本に届けてほしい。子どもたちが大人になれる未来を作りたいという思いを掲げて、支援活動をしている」と涙しながら語った。

参照元:Yahoo!ニュース