全国で頻発する山火事「樹冠火」 春先は空気乾燥し特に警戒、たき火や野焼きに注意

発生から1週間を前に鎮圧された岡山県の山林火災。
愛媛県の山林火災も延焼が止まり、鎮圧を目指した活動が続いている。
山林火災自体は全国で年間千件以上発生。
特に岡山県は過去10年間の発生件数が全国2位で、空気や土壌が乾燥する春先は特に危険とされ、3月は重点的に予防を啓発していた。
条件のほか、地質と植生も火災が頻発する要因とみられており、引き続き警戒が必要だ。
岡山県と愛媛県の山林火災はともに23日に発生が確認された。
岡山市南区や隣接する岡山県玉野市の延焼面積は約565ヘクタール(28日正午時点)となり県内で過去最大。
空き家と倉庫計6棟が焼損した。
県治山課によると、平成26年から令和5年まで10年間の件数は595件で千葉県に次いで2番目。
元年から5年の平均発生件数を月別でみると、4月13・8件、3月13・4件と春先が多く、2~4月の3カ月間で年間件数の約半分を占めている。
山林火災の頻発は、地質と植生も関係しているという。
県治山課によると、県南部の森林には、花崗岩(かこうがん)が風化した砂状の土壌が分布。
保水力が乏しいため乾燥しやすい。
また、植生はアカマツが中心。
過去の松枯れ被害の影響でシダ類やススキ、笹などの下草類が繁茂しやすい。
冬季には下草類が枯れて燃えやすい状態になる。
「まばらな樹木の隙間から陽光が差し込むことで、さらに湿度の低下を招き、延焼が拡大しやすくなる」(県担当者)という。
京都大防災研究所水資源環境研究センターの峠嘉哉(よしや)特定准教授は「今年の瀬戸内地域の降水量は、例年に比べて少なかった」とし、樹木の上部や先端部の枝葉が燃える「樹冠火(じゅかんか)」が起こった可能性があると指摘。
「地表の落ち葉や下草類が燃え広がっていく『地表火』に比べ、樹冠火は拡大が速く、飛び火がしやすい」という。
一方、愛媛県今治市では442ヘクタールが焼失し県内では平成元年以降最大の被害面積となった。
県の集計によると林野火災は過去10年で計165件発生し、1件当たりの焼失面積は平均約0.6ヘクタール。
今回の火災は桁違いに大きい。
現地は22日から27日にかけて乾燥注意報が発表されていたほか、一時風速10メートル以上の風も観測。
「飛び火」も発生し、延焼が拡大したとみられる。
県の担当者は「複合的な要因で延焼が拡大したと考えられる」と話す。
林野庁の統計によると、全国で毎年約1300件の山林火災が発生し、焼失面積は約700ヘクタール、損害額は約2.2億円に上る。
令和元~5年での出火原因は、たき火が最多の32.6%、火入れ(野焼きなど)19%、放火(疑いを含む)7.6%、たばこ4.5%など。
大半が不注意によるもので、落雷などの自然現象に起因するものはまれという。
峠氏は「岡山も愛媛も出火原因は分かっていないが、冬から春にかけては大規模な林野火災が起こりやすく、住んでいる町でいつ起きてもおかしくない。予防策は火の取り扱いに細心の注意を払うことに尽きる」と話す。
参照元∶Yahoo!ニュース