代替チョコレート、代替肉によりも将来は有望 大手がこぞって開発

米ビヨンド・ミートなど代替肉を手掛けるスタートアップ企業は以前こそもてはやされたものの、環境意識の高い消費者の支持だけでは力不足で、食肉の供給網を一新することはできなかった。
植物由来のハンバーガーが直面した問題として、価格と味の面で明確に優れた選択肢になれなかったこと、農家と食肉加工業者という既存の市場にとって脅威になってしまったこと、の2点が挙げられる。
しかし食における代替素材の開発という点ではチョコレートの方がより成功に近いと言えそうだ。
カカオ豆を使わずにチョコレートのような味や食感の素材を再現した代替工チョコレートは、1300億ドル規模の菓子業界が直面する最近の苦境を解決する手段になるのではないか。
チョコレート原料のカカオはコートジボワールとガーナの両国が世界供給の60%を担うが、いずれも病害や悪天候で生産が打撃を受け続けている。
カカオは昨年、生産量が3年連続で需要を下回り、先物価格が前年から4倍に急騰。
ジェフリーズのアナリストは1月時点で供給不足が2028年まで続くと予測した。
一方、国際カカオ機関は現シーズンに14万2000トンの供給余剰を予想。
カカオの極端な価格変動はチョコレートメーカーにとって大きな問題になり得る。
カカオ価格の変動に対処するためにハーシーなど菓子メーカーは先物取引などの金融手段を活用してリスクをヘッジしている。
しかし最近の価格変動につまずいた投機筋が市場から撤退。
ハーシーの幹部によると、先物市場は事実上機能不全に陥っており、同社の提出書類も「コスト上昇を相殺できないことが業績リスクになる」と警告している。
こうした苦境を和らげる方法の1つが製品の値上げで、高級チョコレートメーカーのリンツ&シュプルングリーは何度も価格を引き上げている。
しかしハーシーは低価格帯商品が主力で、品揃えの80%が4ドル未満だ。
そのためスティーブ・ボスキュイル最高財務責任者(CFO)は2月に「値上げは容易ではないだろう」と述べた。
LSEGのデータによると、ハーシーの粗利益率は今後3年間、過去5年間の平均と比べてほぼ10%ポイント低下すると予測されている。
より有望な解決策はカカオを断念することだ。
菓子メーカーは既にパーム油の使用を増やし、カカオバターの代わりにシアバターを採用するなど代替策を講じている。
リンツはさらに踏み込み、研究室でわずか数個の細胞からカカオを培養するスタートアップ企業に出資しているが、このプロジェクトはまだ商業化には至っていない。
同様にモンデリーズ・インターナショナルも類似の投資を行っている。
またボイッジ・フーズとドイツのプラネット・エー・フーズはそれぞれ9400万ドルと3000万ドルを調達し、「精密発酵」技術を使ってオーツ麦やヒマワリの種からチョコレートの風味を再現する技術開発を進めている。
これは一見すると無謀な賭けに見える。
というのも研究室で作られた培養肉や植物由来の代替肉は市場の規模拡大に苦しみ、ハンバーガー市場を開拓できなかったからだ。
実際、ビヨンド・ミートの株価は2019年の上場以来95%下げている。
しかし代替チョコレートは経済的な必要性がずっと高く、しかも既存の大手企業が積極的に開発に関与している。
こうした企業は135億ドル規模のチョコレート市場を狙い、本気でこの問題に取り組んでいる。
どのような形であれ、カカオ豆は今まさに「創造的破壊」に直面しているのかもしれない。
参照元:REUTERS(ロイター)