中学校トイレ清掃、一部を外部委託 生まれた時間は自主活動に 「清掃は教育」からの転換、抵抗を持つ教職員も

長野県松川町教育委員会は4月から、松川中学校のトイレ清掃の一部を外部委託する。
生徒による全校清掃は従来の週5日から2日に減らし、残り3日は生徒や教員が当番制で教室を軽く掃除するように切り替える。
創出した時間を生徒の自主活動に充て、学力や主体性の向上を図る狙い。
県教委によると、県内では校舎の清掃日を減らす事例はあるが、外部委託は「把握している限りで初めてではないか」としている。
同中学校はこれまで、平日は全校生徒が毎日20分間で校舎を清掃してきたが、4月から月、水、木曜は5分間ほどの当番制に変え、トイレは清潔を保つために外部委託する。
代わりに生じた時間を月、木曜は下校前25分間の「みんなの時間」に振り向け、クラス活動や自習の他、大会前の部活動に充てる想定だ。
外部委託先は業者ではなく、地域の人たちに担ってもらい、町教委が謝礼を支払う。
町議会は21日の定例会最終日でこの委託費用120万円を盛った2025年度一般会計当初予算を可決した。
清掃の変更は、町教委の溝上正弘教育長と松川中の権田敬重(たかしげ)校長が昨年夏から検討してきた。
登校から下校まで隙間なく日課表が組まれる中で生徒の主体性を育む時間を新たにつくるには、清掃時間の短縮が現実的だと判断した。
権田校長は「清掃の短縮に抵抗を持つ教職員もいたが、長年の慣習を見直すので無理もない。
最初はうまくいかなくても良いので、協力して取り組みたい」としている。
松川中学校で始める清掃の見直しは、生徒自らが学びやを清潔にすることを教育に位置付けてきた経緯を踏まえると、特にトイレ掃除を外部に委託する点で一石を投じる動きだ。
この変更で生まれる時間を有効活用できるかなど、効果をしっかり見極めていくことが欠かせない。
松川町教委の溝上正弘教育長は海外の日本人学校での勤務経験を通し、生徒の自主性を育む教育が必要だと感じてきたという。
その時間をつくるために清掃を変える判断に至ったが、「清掃をないがしろにするつもりはない。清掃の意義や取り組み方をこれまで以上に丁寧に伝えていく」と説明する。
松川中は本年度、2、3学期のテスト前に清掃を週2回にして自習時間を設けたところ、生徒へのアンケートで好評だったという。
生徒が無言で清掃に集中して心に向き合う「自問清掃」の伝統があり、清掃が減ることを受け、生徒会の美化委員が中心になって清掃の意義を考えてきた。
1年の中村大地さん(13)は「テスト前に学校で勉強できるとやる気が出る。クラスで仲を深める時間ができるのもうれしい」。
一方、ある保護者の女性(50)は「自分たちで使う場所を清掃してもらうのはどうかと思うが、子どもたちが話し合っているようなので見守りたい」と話す。
文部科学省によると、小中学校の清掃について児童生徒が行うと求める規定はない。
小学校の学習指導要領では「清掃などの当番活動や係活動等の自己の役割を自覚して協働することの意義を理解し、社会の一員として役割を果たすために必要となることについて主体的に考えて行動すること」と記載されている。
大東文化大(東京)の山本宏樹准教授(教育社会学)は「清掃してくれる人へ感謝の気持ちを持つ子がいる一方、責任感が薄れてごみを片付けない子が現れる可能性もある。浮いた時間を教員が有効活用できるかでも評価が変わる。試験的に導入し、子どもへの影響を検証しながら改善を重ねることが重要だ」と指摘している。
参照元:Yahoo!ニュース