長野市と中山間結ぶバス6路線、9月末で廃止 沿線3高校の9割がバス通学

アルピコ交通のバスを撮影した画像

アルピコ交通(長野県松本市)と長電バス(長野市)は、長野市街地と中山間地域を結ぶ路線バス6路線を今年9月末をもって廃止すると決定した。

慢性的な運転手不足と利用者の減少が要因だ。

沿線自治体の長野市は代替の移動手段の検討を進めているが、沿線住民からは「なくなったら生活できない」と不安の声が上がっている。

廃止されるのは、アルピコ交通が運営する「高府線」、「新町大原橋線」、「鬼無里線」、「県道戸隠線」、「篠ノ井新町線」の5路線と、長電バスが運営する「牟礼線」。

廃止の背景には、慢性的な運転手不足がある。

なり手不足で減少傾向にあった運転手数は、昨年から始まった運転手の残業規制の強化でさらなる打撃を受けた。

アルピコ交通長野営業所によると、現在のダイヤを運行するには20人足りない状況だという。

利用者の減少も大きい。

同社が廃止する5路線の利用者は、昨年9月までの1年間に計約30万人で、コロナ禍前の2019年9月までの1年間(約55万人)と比べて4割あまり減った。

一方で、地域住民や沿線の高校からは、廃止の影響を不安視する声が聞かれる。

中条地区に住む住民(83)は、買い物や体操教室のために「高府線」を利用する。

「生活に欠かせないものなので、なくなったら困る」と力を込める。

沿線地域には、篠ノ井高校犀峡校など三つの高校がある。

全校生徒のうち約9割がバス通学のため、大きな影響を受けるという。

市交通政策課は、検討を進めている代替の移動手段について、「最低限の本数は確保する」としており、今年7月の会議で方針を示すという。

利用者の予約に合わせてバスを走らせる「オンデマンド交通システム」などを想定している。

地域交通に詳しい信州大工学部の高瀬達夫准教授は「人口減が進む中山間地域で持続可能な公共交通を実現するには、新たな移動手段の検討を行政まかせにするのではなく、『日本版ライドシェア』などの共助型交通で、地域を支えることが必要だ」と指摘する。

参照元:Yahoo!ニュース