女性の顔に酸攻撃、インドで年間200件も タージマハルのお膝元に被害者支援の喫茶店

失恋の腹いせや財産問題のいざこざなどから女性の顔に酸をかける「アシッドアタック(酸攻撃)」が絶えないインド。
傷を負った被害者を店員として雇い、社会復帰の一助にしてもらう喫茶店が北部アグラにある。
「私は私の顔で生きていく」。
店内では女性たちが生き生きと働いていた。
世界遺産タージマハルの程近くにある「シェローズ・ハングアウト・カフェ」。
「シェローズ」は「She(彼女)」と「Hero(ヒーロー)」を組み合わせた造語だ。
インド料理や西洋料理、飲み物を提供するが価格は決まっておらず、客が好きな金額を支払う。
2014年に開店した。
共同創業者のアシシ・シュクラさん(34)は「被害者たちは外見から差別を受けやすく、居場所を失いがち。生きる意欲を取り戻し、生計の手段になる場所をつくりたかった」と話す。
もともとはジャーナリストで、酸攻撃の問題を取り上げる記事を書いてきた。
「キャンペーン報道もしたし、当局に対策を訴える手紙を書いたりもした。反響は大きく成功したと思っていたけど、当の被害者から『それで私のおなかは満たせるの?』と尋ねられた」
行き詰まりを感じていた時にアグラ在住のギータさん(53)と出会った。
20代前半の頃、別居していたアルコール依存症の夫から顔に酸をかけられた。
巻き込まれた2歳の次女は両目を失明、1歳の三女は2カ月後に息を引き取った。
自身が家政婦として働こうとしても、ただれた顔を見てみんなが無視した。
何度も手術を受けなければならず、生活は困窮した。
酸攻撃に翻弄された半生を聞いたシュクラさんは「小さな喫茶店を開こう」と思い立ち、クラウドファンディングで資金を調達。
アグラの店では被害女性8人ほどが働き、店内にはそれぞれの写真や酸攻撃に遭った状況の説明を掲示した。
同じ州内にさらに2店を開き、全体で約50人の被害者が働いている。
インド政府の統計では、酸攻撃は年間約200件起きているとされるが、シュクラさんは「もっと多いはず」とみる。
自立のために英会話や工芸品の作り方を学べる講座も開き「次の計画は被害者たちが起業すること」と意気込む。
一方で政府の被害者支援策はなく、自分たちの活動は「道半ばだ」と言う。
「酸攻撃は許せないけど、私はこの顔で生きてきた」とギータさん。
「2歳で失明した次女の人生を美しく輝かせてあげたい。だから私は絶対に諦めないで働き続ける」と堂々と語った。
参照元:Yahoo!ニュース