消火用ドローン、東京消防庁が開発へ 「木密地域」対策やマンション火災対応を強化

東京消防庁をイメージした画像

東京消防庁は2025年度、上空から火元に向けて放水する「消火活動用ドローン」の研究開発に乗り出す。

首都直下地震も見据え、木造住宅密集地域(木密地域)での延焼リスク低減や、中高層建物での都市型火災に迅速に対応する狙いで、26年度中の実用化を目指す。

東京都内には、延焼の危険性が高い木密地域が東京ドーム1500個分にあたる約7100ヘクタールあり、路地が狭く消防車両が入れない地域も少なくない。

マンションは13万棟以上とされ、同庁管内の23年の住宅火災のうち約65%は、こうした共同住宅で起きていた。

昨年11月に文京区のマンションで住人2人が死亡した火災では、住宅密集地の現場に消防車が近づけず、建物の防犯性能も障害になって鎮火に9時間を要した。

こうした火災への対応として、同庁は消火活動用ドローンの研究・開発を決定した。

20メートル以上の高さまで上昇して水平方向に12メートル以上放水でき、屋内消火栓と同程度の毎分130リットルの放水量を持つ性能を想定している。

実用化後は消防署などに配備し、火災現場に持ち運んで、ポンプ車による放水前の初期消火に生かしたい考えだ。

具体的な仕様はメーカーが検討することになるが、ホースを持ち上げる方式やタンクを備えるタイプなどが考えられる。

開発にあたっては、給水方法や耐熱性、墜落防止などの対策が課題になる。

上空からの映像を、地上の隊員が即時に確認できる機能もメーカーに求める。

運用開始前には、安全に配慮した運航指針も策定する。

同庁は、東京都議会に提出した25年度予算案に、研究開発費として2億4000万円を計上した。

消防活動の現場では現在、ドローンが情報収集に活用されている。

岩手県大船渡市の山火事に出動した東京消防庁の部隊は、上空からの映像で延焼状況を確認し、活動場所を選定したという。

消火活動用ドローンが開発されれば国内初で、全国各地の消防本部でも導入が検討されるとみられる。

公益財団法人「市民防災研究所」理事で、元東京消防庁麻布署長の坂口隆夫氏(77)は、「住宅密集地のほか、大地震で家屋が倒壊した足場の悪い現場でも、ドローンは大きな力を発揮するだろう」とした上で、「都内全域をカバーするには相当の数が必要で、効果的な運用の検討も重要になる」と指摘する。

参照元:Yahoo!ニュース