米政権、ベネズエラ犯罪組織200人超送還 地裁判断無視か

アメリカの国旗を撮影した画像

トランプ米政権は、地裁の強制送還差し止め判断にもかかわらず、ベネズエラの犯罪組織の200人超をエルサルバドルの収容施設に送還した。

ホワイトハウスは声明で、裁判所の判断に逆らっているわけではないとしながらも、判断を無視するのは完全に権利の範囲内だと主張した。

ホワイトハウスのレビット報道官は「米国領土から物理的に追放された外国人テロリストを乗せた空母の動きを単一都市の1人の判事が指揮することはできない」と述べた。

これに先立ち、首都ワシントンの連邦地裁は、トランプ大統領がベネズエラから不法に入国した犯罪組織メンバーの送還加速を目的に布告した「敵性外国人法」の活用を阻止する判断を下していた。

同法は敵対国の市民を拘束して送還する権限を大統領に与える。

地裁のジェームズ・ボアズバーグ判事は15日夜の審理で、同法は他国による「戦争に相当する」敵対行為に言及しているとして、14日間の差し止め仮処分を下した。

判事は東部標準時午後7時25分の通知で、同法に基づいて処理された移民を乗せた航空便は全て米国に戻るべきだと述べた。

3月16日、エルサルバドルのブケレ大統領は、米国から強制送還されたベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア」のメンバーとされる238人がエルサルバドルに到着し、彼らを収容施設に収監したとXに投稿した。

ロイターは、国外追放されたベネズエラ人を乗せた航空機がエルサルバドルに着陸した時間を特定できていないが、エルサルバドル政府が公開した映像には夜間に暗闇の中、機内から男らが急いで降ろされる様子が映っていた。

エルサルバドルのブケレ大統領は「連邦判事、ベネズエラのギャング容疑者を乗せた強制送還機の米国への帰還を命じる」とXに投稿し、「遅すぎた」と述べた。

ルビオ米国務長官はブケレ氏の投稿をリポストし、同氏の「援助と友情」に感謝の意を表した。

トランプ政権は16日の裁判所への提出書類で、「一部」のベネズエラ人は地裁判断前にすでに米国から強制送還されていたと述べたが、それ以上の詳細には言及しなかった。

具体的な人数やどのような状況で送還されたのかは明らかではない。

人権団体は、裁判所の仮処分命令後に送還された人々がいれば、米政府が送還先の国と協力して該当者を再入国させてほしいと要望している。

ブケレ氏は、米国から強制送還されたベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア」のメンバーとされる238人がエルサルバドルに到着し、収容施設に移送されているとし、収監期間は1年だが延長される可能性があると述べた。

AP通信が15日伝えたところでは、米政府はエルサルバドルに対して、トレン・デ・アラグアのメンバー300人を1年間収監してもらう見返りとして600万ドルを支払うことに合意しているという。

参照元:REUTERS(ロイター)