「判決を聞いた瞬間、頭が真っ白で何も考えられなかった」と遺族 1審と同じく『懲役30年』自宅に放火し同居の小学生の甥2人を殺害した罪に問われた男の控訴審判決

兵庫県稲美町の自宅に火を付け、甥2人を殺害した罪に問われ、1審で死刑を求刑されたものの、懲役30年の判決を言い渡された男の控訴審で、大阪高等裁判所は1審の判決を不服とした検察側の控訴を退け、懲役30年の判決を維持する判決を言い渡した。
この判決について、甥2人の両親が記者会見し、父親は判決を聞いた時のことを振り返り、「聞いた瞬間、頭が真っ白で何も考えられなかった」と述べた。
松尾留与被告(54)は2021年11月、兵庫県稲美町の自宅に火をつけて、この家に同居していた妹夫婦の息子・侑城くん(当時12歳)と眞輝くん(当時7歳)の2人を殺害した罪に問われていた。
1審で検察側は死刑を求刑していましたが、神戸地裁姫路支部(佐藤洋幸裁判長)は、「妹夫婦への恨みを晴らすためだけに二つの尊い命を奪った。本件犯行態様は残酷との評価を免れない」と指摘した一方で、「『妹夫婦を苦しめて恨みを晴らそうとした』という動機の形成に関して、恨みを抱くのにも無理からぬ面がある」また、「軽度知的障害や家庭環境の影響を受けている」などとして、有期懲役刑の上限である懲役30年の判決を言い渡していた。
検察側はこの判決を不服として控訴し、控訴審でも死刑を求刑していた。
そして大阪高等裁判所は14日、「妹夫婦の被告人に対する行きすぎた行動などから、相当追い込まれた状態だった。軽度知的障害が軽微ながら影響した。動機に身勝手な面があるが、動機の形成に関して、妹夫婦に憎しみなどを抱いたのは無理からぬ面がある。量刑が重すぎて不当であるとは言えない」などとして、控訴を退け、1審の懲役30年を維持する判決を言い渡した。
控訴が棄却された瞬間について、殺害された甥2人の父は次のように述べた。
【被害者の父】「聞いた瞬間頭が真っ白で何も考えられなかった。頭の中では、『軽くて無期懲役だろうという自分なりの判断をしていたので、まさか懲役30年。落胆する気持ちしかなかった」「子供たちにはやっぱり伝えられない。報告できない」
また松尾被告とのトラブルについては、「松尾被告が部屋を物色するようなことがあり、危機感を抱いていた」と改めて訴えた。
【被害者の父】「僕たちが被告に対して、すごく危機感を感じていて。どうしても防犯カメラをつけなければいけなかった。そういう状態まで私たち自身が追い込まれてしまって、結局はそういう防犯カメラをするようになった。それが裁判官たちに伝わっていなかったのか」
そして改めて亡くなった息子2人への思いを語った。
【被害者の父】「子供たちは本当に何の罪もない、何の落ち度もない。もし私たちに恨みがあれば、どうして私たちに向けなかったのか。この3年間、当然、悲しみと苦しみは今もなお続いたままで。そして常に死と背中合わせの状態です。子供たちの元へ行きたい気持ちは、今もなお変わっていない。そして時間はあの事件のまま、時間は止まったままで、悲しみと苦しみしかないです」
参照元:Yahoo!ニュース