廃炉工程、新段階に デブリ初採取も、本格回収めど立たず 事故から14年・福島第1原発

福島第一原子力発電所の外観を撮影した写真

東京電力福島第1原発では昨年11月、2号機の格納容器内から溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しに事故後初めて成功。

今年2月には処理水の海洋放出で空になったタンクの解体に着手するなど、事故発生から14年を前に、廃炉に向けた工程は新たな段階に入った。

ただ、回収できたデブリはわずか0.7グラム。

推計880トンに及ぶデブリ回収の本格的な工法や時期的な見通しは依然として不透明なままだ。

2月上旬、炉心溶融を起こした1~3号機を一望できる高台に立つと、水素爆発した1号機では原子炉建屋上部の折れ曲がった鉄骨やがれきを大型カバーが覆い始めていた。

今年夏ごろまでに完成する見込みで、使用済み燃料プールに残る392体の核燃料取り出しに向け、がれきの撤去などを進める計画となっている。

隣の2号機では、今春にも2回目のデブリの試験的取り出しに着手する見込み。

回収装置の開発の遅れなどから、1回目は当初の予定から3年遅れた。

人為的なミスや機器の不具合で相次ぐ中断の末に回収した1センチ足らずのデブリは、複数の研究機関で詳しく分析中だ。

東電福島第1廃炉推進カンパニーの高原憲一副所長は「一粒でも取るという目的が達成できた。今後の取り出しへの礎になった」と力を込める。

核燃料の取り出しを2021年に終えた3号機では、30年代初頭にデブリの大規模取り出しを始める見通し。

東電は今年2月に着手した処理水タンク解体で、25年度末までに12基を処分し、跡地にデブリ取り出しに向けた関連施設の建設を予定している。

廃炉作業を支援する原子力損害賠償・廃炉等支援機構は昨年3月、3号機のデブリ取り出しに向けて、空気中で取り出す「気中工法」と薬剤で固めてから取る「充填(じゅうてん)固化工法」を組み合わせるよう提案。

東電が具体化を進めているが、充填剤を開発する必要があるほか、放射性廃棄物が増える恐れなど課題も指摘されている。

デブリの試験的取り出しに着手したことで、政府と東電が策定した工程表では廃炉作業の最終段階である「第3期」に入った。

ただ、51年までとした廃炉完了への道のりはいまだに見通せていない。

高原副所長は「今後はデブリ取り出しに向けた作業が注目されていくと思うが、処理水の海洋放出など、全ての作業に気を緩めず対応していくことに変わりない」と話した。 

参照元∶Yahoo!ニュース