結婚式場の3割が赤字、 市場はコロナ前に戻らず 「披露宴」規模の縮小痛手

結婚式場の苦境が続いている。
国内で結婚式の専門式場やハウスウェディングなどを経営する「結婚式場」の運営企業を調査した結果、2023年度の損益動向が判明した104社のうち、33.3%が「赤字経営」だった。
前年度から「減益」となったケースを含めると、全体の約6割で業績が「悪化」した。
コロナ禍の打撃から挙式数は回復しているものの、家族や親族のみで行う小規模な披露宴の拡大や、物価高を背景に「ナシ婚」「ジミ婚」などのトレンドも定着し、式場間の競争が激化していることなどが主な要因となった。
2024年度の「結婚式場」市場(事業者売上高ベース)は4800億円前後での着地が見込まれ、前年度から約8%増加する見通しとなった。
コロナ禍の影響で大幅な減収を余儀なくされた20年度(2767億円)から大幅に回復し、過去5年で最高となる。
コロナ禍で延期されていた結婚式が再開され、一定人数を招いた結婚式需要の増加が追い風となった。
一方で、過去最高だった2018年度(6163億円)に比べると約8割の水準にとどまるなどコロナ禍前の水準には完全に戻りきっていない。
結婚式の予約件数や来客数は徐々に回復しているものの、親族のみを招待した披露宴など小規模婚の人気が広がり、招待客の多い大規模挙式のニーズ回復に時間を要しているほか、経済的な理由や準備の煩雑さなどから挙式をしない「ナシ婚」を選ぶカップルの拡大、少子化や晩婚化の進行を背景に顧客獲得競争が激化し、単価の引き上げに苦戦する結婚式場業者も多かったとみられる。
コスト面では婚礼スタッフの確保難を背景に人件費が上昇しているほか、食材費や光熱費などのコストも増加している
一部では料理などのコース料金やサービスの価格を引き上げたものの、利用客の負担増を考慮して大幅な価格改定に踏み込めず、最終的に赤字や減益となった式場が目立った。
近時は婚礼相談数などもコロナ禍以後の急激な回復に比べて緩やかになっているとも聞かれるほか、地場大手の結婚式場業者が突然破たんし、披露宴の実施が困難になるなどの混乱も発生している。
業界環境は厳しさを増しているなかで、カップルの希望や個性を反映したユニークな演出やオリジナルのサービスを充実することで利用者を伸ばす企業もあり、各社の創意工夫と適応力が求められる。
参照元∶Yahoo!ニュース