福岡空港の「持ち込み制限区域」でハサミとカッター見つかる 昨年9月、再検査せず国への報告も怠る

福岡空港で昨年9月、危険物の持ち込みが制限された区域で刃物2本が相次いで見つかったにもかかわらず、空港運営会社「福岡国際空港(FIAC)」が規定に反して乗客への保安検査をやり直さず、国土交通省への報告もしなかったことがわかった。
国交省はFIACに対して行政指導にあたる厳重注意をし、再発防止策の提出を求めた。
厳重注意は2月27日付。
FIACと国交省は事実関係を公表していない。
関係者によると、昨年9月7日、福岡空港の国内線旅客ターミナルビルで、利用客がハサミ1本を見つけたと空港係員が連絡を受けた。
同じ日、国際線旅客ターミナルビルのトイレでもカッターナイフ1本が発見された。
いずれも航空機内への持ち込み制限品に該当し、保安検査場を通過した先の「クリーンエリア」と呼ばれる区域内で見つかった。
このうちカッターは法令で携帯が禁じられた長さ(刃体6センチ超)だったが、FIACは規定に反して出発前の全旅客への再検査を行わず、国交省や警察に速やかに報告・連絡をしなかった。
こうした経緯は、国交省航空局が昨年9月末から実施した民活空港運営法などに基づく立ち入り検査で判明した。
FIACの担当者らは「(報告や再検査が必要な)航空保安事案に該当しないと誤解していた」と説明したという。
ハイジャックやテロを防ぐため、凶器になり得る刃物や爆発物は機内への持ち込みが禁じられている。
国交省は「機内持ち込み制限品が発見された際、再検査の要否や航空局への報告を判断する者・方法が明確に定まっていないことなどが原因だった」と認定し、FIACに対し、3月13日までに再発防止策を報告するよう求めた。
FIACの広報担当者は読売新聞の取材に対し、「今回の事案と厳重注意を重く受け止める」などとコメントした。
保安検査を巡っては昨年8月17日、北海道・新千歳空港の制限区域内にある店舗でハサミ1本の紛失が判明し、保安検査の中断・やり直しによって36便が欠航、200便以上が遅延するトラブルがあった。
参照元∶Yahoo!ニュース