火の勢い衰えず避難指示を拡大 延焼続く岩手・大船渡くの山火事 被害拡大なぜ?重なった条件とは

火事をイメージした写真

延焼が続く岩手県大船渡市の山火事。

27日、火災現場で男性1人の遺体が発見された。

大船渡市は、避難指示を3300人以上に拡大。

再び、不安な夜が訪れている。

自衛隊は大型ヘリ追加日が暮れても火の勢いは衰えない。

激しさを増しているようにさえ見える。

喜入友浩キャスター「日が暮れて午後6時半になりました。今も山の頂上付近、複数のオレンジ色の炎が見えます。山の木々が勢いよく燃えています」

住宅に迫る火の手。

立ち上った煙は太陽を遮るほど、空いっぱいに広がった。

岩手県大船渡市で発生した大規模な山火事。

一夜明けた27日も火は収まっていない。

消火用にまく水を入れた容器を積み、飛び立つヘリコプター。

27日は朝から、26日に強風のためにできなかったヘリコプター10機による消火活動が行われている。

火災の範囲は現在も広がり続けていて、赤崎町陸町で少なくとも600ヘクタールを焼き、住宅など84棟が燃えたとみられている。

市は綾里地区など合わせて873世帯2114人への避難指示を継続。

さらに、27日午後4時45分、延焼が続いたとして、1340世帯3306人に避難指示を拡大した。

一部の学校は、体育館などの施設を避難所として開放している。

避難した人「一気に家がなくなってがっかりした。怖くなって、かばん一つ持って。何も持てない、着るものなんて。(火が)回ってしまったから。あとは逃げて外出た。消防車にここまで助けてもらった」

今回の火災では死者が出る事態になった。

27日午前7時ごろ、三陸町で県道に倒れていた男性1人の遺体が発見された。

この食堂では、27日から4日間、避難者を対象に無料で食事を提供している。

避難した人「とてもおいしかった。とてもありがたいこと。感謝しかない」「何も食べていなかったので助かりました」

避難中の男性が孫の男の子を車に乗せて向かったのは、避難者を対象に26日から無料開放している銭湯だ。

26日、火災が広がるなか、村上さんのもとに小学校から連絡があったそうだ。

村上八十八さん「電話で『迎えに来てください』と。学校の校庭に行ったら、火から煙から『これはだめだ』と思って」

村上さんの孫 壱浩くん「(Q.パニックになった?)煙だらけで授業に集中していなかった」

その後、村上さんは壱浩くんを連れ、こちらに避難してきたそうだ。

壱浩くん「(Q.避難するのは初めて?)初めてです」

壱浩くんは2012年生まれ。

その1年前の2011年、大船渡市は東日本大震災で多数の死者・行方不明者を出している。

現在、延焼が続く地域でも10メートル以上の津波を観測するなど甚大な被害を受けた。

壱浩くんの母 八恵子さん「(Q.どんな思いで子育てをして節目を迎えた?)節目節目でずっと震災の話を聞いていても、実際は知らないので。今回、初めて避難するということを身をもって知ったので、みんなと一緒にいること、日常がどれだけ大事かをわかってほしいなと」

現在、壱浩くんは小学6年生。

来月18日には卒業式を控えている。

八恵子さん「家に制服を置いてきちゃったんです。式で着るはずの。おととい受け取ってきて、卒業式は中学校の制服で出るので。せっかく準備したのに。ちゃんとね、体育館でみんなと一緒に迎えられたらいいね」

震災の被災地を襲った今回の山火事。

専門家は、延焼が拡大した要因は落葉樹が多いという東北の自然環境に、連日の乾燥や強風といった気象条件が重なったと指摘する。

森林総合研究所 玉井幸治 研究ディレクター「最初に燃え出すのは、森林の中の地面にある落ち葉。今年の大船渡市はすでに雪がないとか、雪どころか雨も降らないという状況なので、例年に比べると、落ち葉が乾燥しやすい年だったのかなと」

実際に、大船渡市の今月の降水量は2.5ミリで、平年のたった6%と極端に少なく、乾燥注意報も18日に出されてから10日も続いている。

さらに…

森林総合研究所 玉井幸治 研究ディレクター「26日の12時から14時にかけて風速6メートル台が続いてるので、それくらい風速があれば、やっぱり(火は)拡大はしていくのかなと思う」

大船渡市によれば、延焼は拡大し続けていて、「鎮圧方向には至っていない」という。

この先の天気も、しばらくはまとまった雨や雪はない予報となっています。火はいつ収まるのか、どこまで広がるのか…。

住民「家のほうに行くと煙しか見えねえから、たまんねえなと思って。早く鎮火してくれるといいけども…」

山火事は各地で頻発している。

山梨県大月市では26日午後2時ごろに山火事が発生し、現在も鎮圧に至っていないという。

さらに、静岡県函南町でも昼ごろに山で火災が発生し、高齢の男性が煙を吸う軽傷を負った。

太平洋側で続く乾燥した天気。

引き続き、火の元に注意が必要だ。

参照元∶Yahoo!ニュース