日経平均一時1100円安:識者はこうみる

東京証券取引所の外観をイメージした写真

28日の東京株式市場で日経平均は下げ幅を拡大し、一時1100円超安に下げ幅を拡大した。

前日の米国市場でのハイテク株安やトランプ大統領による高関税政策への警戒感が投資家心理を冷やしている。

市場関係者に見方を聞いた。

日経平均がレンジ下限と意識される3万8000円前後の水準を割り込んできたが、下げの背景には米国の景気悪化懸念が強まったほか、トランプ関税が読み切れないという不安感があり、これらがはっきり見通せるようになるまでは日本株も重い動きにならざるを得ない。

ただ、日経平均は各テクニカル指標をみると、下げ過ぎとの印象が強いほか、PER(株価収益率)が急速に低下してきたことで、バリュエーションからも買い余地が出てきた。

来週はISM製造業景況指数、米雇用統計などの発表を控えており、これらが強めに出て米景気への不安が後退すれば、米株上昇、日本株リバウンドが読めるようになる。

売られ過ぎの水準まで下落したとみられるだけに、米経済指標、トランプ関税の方向性がポイントで、これらの行方を注視しながら、反転のきっかけを待つところだ。

きょうの市場は半導体セクターが主導して相場を押し下げている。

ディフェンシブ銘柄は買われているので全面安とはなっていないが、地合いは悪く、先行きも上値の重い展開となりそうだ。

米国の関税政策については、4月に相互関税が導入されるとみられ、依然として不透明感が残っているほか、半導体株が調整となると日経平均の指数としては上方向を試しづらいだろう。

外需株が手掛けにくい中で相対的に内需系の銘柄が物色されやすい局面だが、相場を押し上げる要因にはなりにくい。

目先については、米国の関税強化の動きが一段と進んだり、為替が急激に円高に振れたりするなど悪材料が出た場合は、日経平均が3万5000円程度まで下がる可能性もあるとみている。

日経平均は10月安値を割り込み、完全に下落トレンドになった印象がある。

来週にかけ、下値模索になる可能性が高いだろう。

エヌビディアの決算自体は非常に良かったが、中国AI(人工知能)ディープシークの台頭以降、AIのコモディティ化が警戒されている。

マイクロソフトなどによるデータセンター投資の縮小も懸念され、業績のピークアウト感を強めた。

中国への米高関税は、一部中国製部品を製品に組み込むエヌビディアの利益率に影響しかねないともみられている。

いまのところAI関連と暗号資産関連の下落が中心で、ディフェンシブ株は持ちこたえている。

ただ、どれだけ耐え続けられるかは危うい。

米市場では、高金利の影響でAI関連以外は傷んでいる。

AIが崩れると相場の柱を失う可能性がある。

テクニカル的には、昨年8月の暴落の際に下支えになった24カ月移動平均線(3万5770円付近)まで、下値めどは見当たらない。

2月の下げ局面で押し目買いに伴う信用買い残が増えたことは需給的な重しになる。

日経平均は3万6000円割れも意識されてきそうだ。

参照元∶REUTERS(ロイター)