5億円超の「黄金のトイレ」、わずか5分で盗まれたと検察 英ブレナム宮殿

2019年9月にイギリス・オックスフォードシャー州にあるウィンストン・チャーチル元首相の生家、ブレナム宮殿から「黄金のトイレ」が盗まれた事件の公判が24日、オックスフォード刑事法院であり、わずか5分の犯行だったと検察側が説明した。
時価480万ポンド(当時の為替レートで5億円超)の「黄金のトイレ」を盗むという「大胆な」事件は、2019年9月14日早朝に起きた。
トイレは当時、芸術作品の一つとして展示されていた。
この事件では、オックスフォード・ディヴィニティロード出身のマイケル・ジョーンズ被告(39)が強盗の罪に問われている。
ジョーンズ被告は罪状を否認している。
ウィンザー出身のフレッド・ドウ被告(36)とウェスト・ロンドン出身のボラ・グコック被告(41)は、窃盗品の譲渡を共謀した罪を否認している。
一方、ノーザンプトンシャー・ウェリンバラ出身のジェイムズ・シーン被告(40)は昨年4月、窃盗、盗品の譲渡および共謀の罪を認めた。
この日の公判で、トイレは解体され、その後復元されることはなかったとみられるとされた。
検察のジュリアン・クリストファー勅選弁護士は、2019年9月14日の早朝に、2台の車両に乗った5人の集団が、閉まっていたブレナム宮殿の門を突破し、複数の大きなハンマーを使って建物内に侵入したと述べた。
ハンマーは現場に残されていたという。
事件の約17時間前に撮影されたトイレの写真が見つかっており、ジョーンズ被告が「窃盗の下見の一環として」撮影したものだと、クリストファー氏は述べた。
また、犯行にかかった時間はわずか5分だったと明らかにした。
「このアート作品が復元されることはなかった。小さな金の塊に分解され、復元されることはなかったようだ」と、クリストファー氏は付け加えた。
「アメリカ」と題された、18金が用いられたトイレは、イタリアの概念芸術家マウリツィオ・カテラン氏の展示会の作品の一つだった。
重さは98キロで、600万ドルの保険がかけられていた。
使用されていた金だけで280万ポンド相当の価値(2019年9月時点)があったことも、公判で明らかになった。
検察は、シーン、ドウ、グコックの3被告の携帯電話に残された一連のメッセージや音声記録、スクリーンショットが、被告たちが盗んだうちの約20キロ分の金を、1キロあたり2万5632ポンドで取引していたことを示していると指摘した。
グコック被告はロンドンの宝飾品街ハットン・ガーデンでジュエリーショップ「パチャ・オブ・ロンドン」を経営。
金1キロが売れるごとに約3000ポンドの利益を得ていたとされる。
ブレナム宮殿はチャーチル元首相の生家で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されている。事件の公判は今後も継続される。
参照元∶Yahoo!ニュース