ゆうちょ銀「上乗せ規制」緩和へ、郵政が保有株6000億円規模売却 関係者
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ゆうちょ銀行が近く株式の売り出しを決める方向で最終調整していることが分かった。
親会社の日本郵政が、出資比率50%を割り込むまで保有株を売却する。
事情に詳しい関係者3人が明らかにした。
ゆうちょ銀は郵政民営化法で定められた「上乗せ規制」が緩和され、新規業務に参入しやすくなるなど経営の自由度が高まる。
同関係者らによると、ゆうちょ銀は今週にも株式の売り出しを決議する。
うち関係者2人によると、需要に応じて実施する追加売却分を含めた総額は、現在の株価水準で6000億円規模になるという。
同時に自己株式の取得も決め、一部日本郵政がこれに応じる。
日本郵政とゆうちょ銀行の広報担当者はそれぞれ、「資本政策の観点から様々な選択肢を検討しているが、現在において決定した事実はない」とコメントした。
郵政民営化法は日本郵政に金融2社の株式売却を求めている。
日本郵政は23年にゆうちょ銀への出資比率を60%台まで引き下げ、24年9月末時点では61.5%。
ゆうちょ銀による今回の決議後、50%を切る水準まで段階的に売却する。
かんぽ生命保険の出資比率はすでに49.8%まで低下している。
ゆうちょ銀とかんぽ生命は、民業圧迫を避けるため一般の金融機関よりも業務を制限する郵政民営化法の規制である「上乗せ規制」が適用されてきた。
日本郵政の議決権比率が50%を下回ると同規制が緩和され、ゆうちょ銀にとっては、融資業務など新規業務を展開するに当たり金融庁長官と総務大臣による認可制から事前届け出制に移行し、経営の自由度が増す。
日本郵政は、25年度を最終年度とする中期経営計画で、「出来る限り早期に保有割合を50%以下とする」方針を示していた。
ゆうちょ銀が2月に公表した24年4─12月期連結業績は、純利益が前年同期比17.0%増の3083億円だった。
日銀による利上げを追い風に、資金利益の伸びが利益をけん引した。
参照元∶REUTERS(ロイター)