「周りが僕の失敗を喜んだ」岸谷蘭丸氏、超有名人夫妻の子に生まれた苦労「親の力が関係ないところで自分の存在を証明したい」

親子関係をイメージした写真

優秀な親を持つ子どもには、人それぞれの葛藤があるという。

裕福な家庭であれば、不自由のない生活が送れ、また教育でも遊びでも、様々な体験ができることも多い。

一方で、優秀な親と比較されたり、また親から過大な理想を押し付けられたりして悩むケースもあり、そのプレッシャーに耐えられないという声もある。

では、そんな子どもたちに取材をした中、父が俳優・岸谷五朗、母がシンガーソングライターの岸谷香というYouTuber・TikTokerの岸谷蘭丸氏も、自身の思いを吐露。

超有名人夫妻の子として生まれた苦労について「周りが僕の失敗を喜んだ」、また両親とは良好な関係の中でも「親の力が関係ないところで自分の存在を証明したい」といった心情を明かした。

岸谷蘭丸氏は2001年生まれの23歳。

数々のテレビドラマや映画などに出演してきた俳優・岸谷五朗、一斉を風靡したガールズバンド・プリンセス プリンセスのボーカルでシンガーソングライターの岸谷香という、超有名人夫妻の長男として生まれた。

中学までは日本、高校からはアメリカに留学し、イタリアの大学に進学すると、2021年から「柚木蘭丸」としてYouTubeやTikTokで活動開始。

2024年に海外の大学情報や現地の日本人学生の体験談などを掲載するメディアプラットフォーム「留パス」を立ち上げると、同年11月28日に「ABEMA Prime」出演の際、自身の素性を公表し、以降は本名である「岸谷蘭丸」で活動を始めた。

2月19日、同番組に出演すると、「優秀な親を持つ子の生きづらさ」というテーマについて、次々と思いを述べた。

番組では優秀な親を持つ子ども2人が当事者として出演、親からの重圧などについて思いを述べたが、岸谷蘭丸氏も自身の経験談から語り出した。

岸谷蘭丸氏 「仕事や勉強の面で優秀とされているというのと、親として優秀か、親としての能力が高いかどうかは全く関係ないと思うが、確かに(子どもが)つらい気持ちとかプレッシャーがあるというのは、非常に理解できる。なんだか結局、感覚が狂ってしまう。何か失敗した時の、周りの喜びようといったらない。『あ、失敗した』と。僕なんかもそうだが、やらかした時に『ほれ、見たことか』と来る。そう考えると確かに重圧があるというのはすごく理解できる。ただ、優秀な親を持つ子は大変だとあったが、そんなことはない。絶対にプラスの方が間違いなく多い」。

2ちゃんねる創設者のひろゆき氏からは「親は役者と歌手だから、勉強ができなくても当然じゃない?とならないか」という質問も飛んだが、そうではないという。

岸谷蘭丸氏 「『勉強できない2世』となると、もう『ですよね』という感じになる。周りは僕の失敗が面白くて仕方がないわけだ。『あそこの子、失敗したよ』と。失敗した時のダメージを考えるとプレッシャーはあった。小学校も中学校も受験したが、これは失敗できないと思ってやっていた。これは本当かどうかわからないが『才能は遺伝しないし、こういう成功は再現性がないから、お前は再現性がある勉強の方を頑張れ』と言われていたので、そうかとやっていた。その点はいい采配をしてもらったなとは思っている。でも結局、僕は何かそういうカルマ(業)を背負って生まれてきたと思う。芸能界なんて絶対行きたくないと思っていたし、もう人前には出ない、ひたむきに勉強を頑張るぞと思って20歳まで走ってみたところ、なんだか出たくなってしまった」。

スタジオからは、両親と理想的なコミュニケーションを取れたことで、現在があるという声もあったが、その点については「期待と理想」の違いについて述べた。

岸谷蘭丸氏 「期待なのか理想なのか、違いがある。親から期待をしてもらうのはすごく大事。『期待しているよ。頑張ってね』と投資をしてもらうのは、いい結果に行きやすくて、周りの子どもを見ていてもそうだ。特に早稲田、慶應に(小・中学校など)下から行っている子たちは、親も太くて、何一つ不自由がない。そういう子の中でも、幸せを感じられているか、感じられていないかは二極化して分かれている。この差を見ると、これは僕の個人的な意見だが、親が理想を押し付けているタイプは、なかなか幸せを感じられない。親の理想にどうしても応えられないと思ってしまうが、期待されている、『頑張ってね』とコミュニケーションが取れている家庭は、親とは違うフィールドで、でも親を超えてやるぜとみんな思いながら頑張って、幸せを感じられていると思う」。

大人になるに連れて、優秀な親の財力、知名度などを利用する方法もあった。

ところが岸谷蘭丸氏は、昨年まで「岸谷」姓を隠して活動をしていたことからもわかるように、親を利用することをしてこなかった。その理由はなぜか。

岸谷蘭丸氏 「やっぱりロックンロールじゃないから(笑)。それはもう遺伝。すごく個人的な話になるが、ダサい・ダサくないの基準が、すごく親からきている。母親からの影響がすごく強いので(親の力に頼ることが)ダサいと普通に思っていた。要は親の力が全く関係ないところで、何かしらの自分の存在証明をしたいというのがあったから、だからむしろ使いたくなかった。ただ、逆に今はちゃんと素の自分でいられる。親が何者かであるというのは、やはり自分のアイデンティティ。それを素直に出せるのは気持ちいい状態だ。(学生時代)、音楽の時間のプレッシャーはやばかった。もう大人になって、やっと開き直れるようになって『自分はこういうものです』と自分のアイデンティティができて開き直れたので、飲み会でも(プリンセス プリンセス)の『M』も歌う」。

自分の理想とする人生、生きたいと思う人生について、親の価値観やサポートはどう影響したか。

岸谷蘭丸氏 「生き様を見せられてはきているし、やはり環境系だと思う。背中もそうだし、環境も見せられてきた。そこから与えられた影響はものすごく大きい。これはもう本当に自分のカルマだと思っているが、普通の状態で幸せだと思えなくなっている。自分が特別扱いされることに慣れすぎていて、それが幸せな状態だと勘違いをしている。それをずっと追いかけて走り続けなければいけないという意味では苦しいし、逆に言えば目標とかやる気は見せてもらった。そこはいい影響だなと思うし、表裏一体だ」。

誰もが知る優秀な両親を持つ子だと公表し、表舞台に出たことで、今後はさらに大きなプレッシャーを感じながら生きることになる。

父、母と全く同じ道を選んだわけではないが、それでも比較される人生が待っている。

岸谷蘭丸氏 「親と同じ業界に行かないというのはポイント。どうやっても(親の)影から抜けられないし、絶対に同じ業界に行ってはダメというのは、アドバイスとして言いたい。もしそういう人がいれば、ちょっとニアピンでずらした方がいい。(今は)周りを黙らせるための結果を出せと言われる。LINE NEWSに(自分が)載っていても、親の名前しか書いていない、僕の名前は書いてくれないようなものばかり。マジで悔しい。なんとか結果を出さないといけない」。

参照元∶Yahoo!ニュース