習主席が民間首脳らと会合、ジャック・マー氏も出席 支持示唆

中国の国旗を撮影した写真

中国の習近平国家主席が17日、電子商取引大手アリババグループの共同創業者、馬雲(ジャック・マー)氏ら著名起業家との会合を開いた。

世界2位の規模を誇る中国経済のてこ入れで鍵を握るとみられる民間セクターに対する当局の支持を示唆している。

今回の会合には、半導体製造から電気自動車(EV)、人工知能(AI)に至るまで、ここ10年の中国ビジネス界を代表する大物の多くが参加した。

トランプ米政権が世界的な関税賦課の取り組みを強化する中、中国経済を大きく支える民間企業への当局のソフトな姿勢が示された。

国営メディアによると、習主席は民間企業代表者の発言に耳を傾けた後に演説した。

小米(シャオミ)の雷軍最高経営責任者(CEO)やフードデリバリー大手、美団の王興氏が出席したほか、米技術への依存を減らす中国の取り組みの中心人物と考えられている華為技術(ファーウェイ)の創業者、任正非氏やロボット開発スタートアップ、宇樹科技の王興興氏らも参加した。

習氏は集まった企業の創業者や経営トップらに対し、競争心を維持し、中国の将来に対して信頼感を抱くよう強く求めた。

さらに彼らが直面していた問題は「一時的だ」と強調。

民間企業に対する不当な料金や罰金を廃止し、公平な競争の場を約束した。

全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は2月24-25日に会合を開くと、新華社通信が報じた。

趙楽際委員長は、民間経済の促進に関する法律草案などについて見直すことを推奨しているという。

新華社によれば、習氏は「生産要素の平等な利用と市場競争への公正な参加を阻むあらゆる障壁を断固として取り除くことが必要だ」と述べた。

事情に詳しい関係者によると、会合にはテンセント・ホールディングス(騰訊)の創業者、馬化騰(ポニー・マー)氏の姿もあった。

比亜迪(BYD)の王伝福氏やバッテリーメーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)の曾毓群氏も出席しており、EV分野における中国の急速な台頭ぶりを印象付けた。

シンガポール社会科学大学法学院でシニア講師を務めるユー・チュアンマン氏は、「これは中国が社会の信頼感を高めるために打ち出し得る最も強いシグナルだ。習主席自らが起業家との会合に姿を見せたという事実は、今回の会合の政治的重要性を浮き彫りにしている」と話す。

DeepSeek(ディープシーク)の大規模言語モデル(LLM)の登場によるAIの進歩を巡る楽観的な見方から、この1カ月で急騰していた中国株は17日、前週末の終値を挟んだ値動きだった。

国営メディアの報道はこれまでのところ出席者の確認が中心で、参加者のコメントを伝えておらず、投資家らは今回の会合に関する詳細を待っている。

ブティック型投資銀行、香頌資本のディレクター、沈萌氏は「一部の投資家は利益確定を選択した」と指摘。

「一段の上昇余地があるかは、どのような支援策が導入されるかにかかっている。これらの施策の効果が短期間で表面化するのは難しい」と述べた。

基調に変化習指導部が2020年にインターネットや民間セクターへの締め付けを強めた際、マー氏は最も著名な犠牲者の一人となっていた。

アリババ系のフィンテック企業、アント・グループの超大型新規株式公開(IPO)は直前で中止を余儀なくされた。

中国経済に対する統制を強化するとともに、富裕層を抑え込み、習主席が優先する国家安全や技術的な自給などに資源をシフトさせる取り組みの幕開けにもなり、マー氏も表舞台から姿をほぼ消していた。

だが、中国経済が減速し、AI分野で主導権を握ろうとする習指導部の取り組みにアリババなどの企業が歩調を合わせる中、当局の厳しいアプローチは最近和らいでいた。

シンガポール社会科学大のユー氏は「これは180度転換というよりも『促進政策』だ」とし、「中国は不動産市場や民間セクターに対する過度な規制から、民間経済への前向きな政策シグナルの発信へと軸足を移してきた。当局からは民間セクターへの寛容、改善、奨励という基調の継続的な変化が見られる」と述べた。

参照元∶Yahoo!ニュース