「SHOGUN 将軍」が生んだシンデレラ 穂志もえかクリティクス・チョイス受賞の意味

授賞式をイメージした写真

真田広之さんがプロデュースしたドラマ「SHOGUN 将軍」が、またしても快挙を成し遂げた。

アカデミー賞の前哨戦とも言われる、アメリカの映画批評家賞であるクリティクス・チョイス・アワード(以下CC賞)で、作品賞をはじめとする4冠を受賞した。

もちろん、「SHOGUN 将軍」はエミー賞でも史上最多の18冠、ゴールデングローブ賞でも4冠を獲得していることを考えると、今回のCC賞の4冠も順当と考える人は多いだろう。

また、日本ではCC賞は、エミー賞やゴールデングローブ賞に比べると知名度が低い関係で、日本のメディアの取り上げ方は抑えめのようだ。

ただ、実は今回のCC賞においては、エミー賞やゴールデングローブ賞とは異なる、日本の映像界にとって非常に重要な受賞があった。

それが穂志もえかさんによる助演女優賞の受賞だ。

真田広之さんとアンナ・サワイさんの活動拠点はハリウッドこれまで、「SHOGUN 将軍」からは、主演の真田広之さんを筆頭に、アンナ・サワイさんや浅野忠信さんが、エミー賞やゴールデングローブ賞で男優賞や女優賞を獲得してきた。

その中で、今回の穂志もえかさんの助演女優賞が特別なのは、穂志もえかさんがこれまでハリウッドで活動したことがない俳優であるという点だ。

真田広之さんが、2003年に公開された映画「ラストサムライ」の出演の頃から、ロサンゼルスに活動拠点を移して、様々なハリウッドの映像作品に出演してきたのは有名な話。

2007年にはジャッキー・チェンとも共演を果たしていますし、映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」にも出演されている。

また、エミー賞とゴールデングローブ賞で主演女優賞を獲得したアンナ・サワイさんも、2018年に日本での活動を卒業し、2019年からアメリカのエージェンシーと契約しハリウッドを中心に活動を開始。

2021年には「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」に日本人として初出演をされて話題になった。

ゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞した際に、「多分皆さんは私をご存じないでしょう。」と会場を沸かせたスピーチをされた浅野忠信さんも、「マイティ・ソー」シリーズの三部作に出演をされているなど、多数のハリウッド作品に出演をされている。

さらにいうと、エミー賞の助演男優賞などにノミネートされている平 岳大さんも、2020年から拠点をハワイに移し、映画「グランツーリスモ」などハリウッド作品への出演を増やしている。

しかも、なんと今月公開の「キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド」ではハリソン・フォードとの共演も果たしている。

つまり、これまで「SHOGUN 将軍」で、エミー賞やゴールデングローブ賞で受賞やノミネートに輝いてきた日本人俳優の方々は、既にハリウッドでキャリアを積んでいる方々なのだ。

ハリウッド初出演作品での助演女優賞受賞しかし、今回CC賞で助演女優賞を獲得した穂志もえかさんは、今回がハリウッド制作作品への初出演になる。

穂志もえかさんのオーディションは、日本からアメリカにいるプロデューサーや監督に対して、台本にあるいくつかのシーンをiPhoneで撮影して送るかたちで実施された、という逸話が印象的だ。

リモートでオーディションを受けた日本人女優が、初出演作で米国のアワードを受賞できたという事実は、文字通り「SHOGUN 将軍」が生んだシンデレラストーリーと言えると思う。

実は穂志もえかさんが演じた「藤」は、名家の娘であるにも関わらず夫と息子を失った後に、本人の意思に反してイギリス人航海士の正室にされてしまうという不遇の運命を辿る。

男性の命令に従いながらも、強く生きる姿が、日本人女性ならではの美しさとして、欧米の男性から大きな反響を受けたようだ。

穂志もえかのスピーチが授賞式を感動で包んだ。

じつは欧米で大人気今回のCC賞において、穂志もえかさんの涙の受賞シーンは、アメリカでも非常に控えめで感動的だったと高く評価されているようだが、御本人にとっても、本当に感動的な受賞だったからこその涙と言えるだろう。

そんなハリウッド初出演の穂志もえかさんの演技が高く評価され、今回の助演女優賞受賞という結果になったということは日本の俳優陣にも非常に勇気を与える結果になったと言えると思う。

本当に素晴らしい演技をすれば、ハリウッド初出演だろうが関係なく、文字通り国境を越えて評価されることを、穂志もえかさんが証明してくれたわけだ。

シーズン2以降も期待される日本人俳優の活躍しかも、「SHOGUN 将軍」は、これからもシーズンが続くことが発表されている。

おそらくシーズン2は関ヶ原の戦い、シーズン3は大阪城を巡る戦いが描かれるはずで、平 岳大さんや、二階堂ふみさんの将来のノミネートや受賞の可能性も十分にあるはずだ。

穂志もえかさんも、まだシーズン2に出演するかどうかは確定していないようだが、おそらく今回の受賞を受けて、シーズン2でも重要な役割を担う可能性が高いのではないかと思う。

当然、「SHOGUN 将軍」がシーズン2になって新しい登場人物が出てくれば、そこにまた新しい日本人俳優にとってのチャンスが生まれることになる。

撮影自体も日本で行われる可能性もまだあるようなので、今後「SHOGUN 将軍」がさらに日本の映像業界に良い影響を与えてくれる可能性も高いように思う。

真田広之さんと「SHOGUN 将軍」が成し遂げた快挙の大きさを私たちが本当に理解するのは、まだこれからなのかもしれない。

参照元∶Yahoo!ニュース