ラーメン店入店に500円 値上げせず行列解消 「パス」導入の動き
ラーメン店で、入店するための「パス」を客に求める動きがでてきている。
商品の値段を上げずに行列を解消する狙いで、料金は400円前後が多いという。
東京・銀座で2018年に開店したラーメン店「銀座八五」は、ミシュランガイドにも掲載された人気店だ。
メインの中華そば(1200円)などを目当てに、インバウンド(訪日客)も多く訪れる。
1月下旬、開店の1時間前には20人ほどの列ができていた。
並んでいたアメリカ人夫婦は「ロサンゼルスでもラーメンは人気がある食べ物。ユーチューブで絶賛されていたお店だったので、ぜひ来たかった」と話した。
店では整理券を配布したり、名前を記入するボードを設置したりしたが、行列は「6時間待ち」になることもあった。
そこで23年11月からは、開店の午前11時から正午までは並び順、正午以降は30分ごとに時間が設定された500円の「パス」の購入者に限って入店できる仕組みにした。
3回目の来店で北海道から訪れたという公務員の男性(32)は「他にはない味。いつ入れるか分からずに並ぶのは難しい。席確保に500円を払う価値がある」と話した。
店主の松村康史さん(65)は「ラーメンの値段を上げずに行列を解消したかった」という。
パスの導入は、仕込みなど段取りの効率化やリピーターを把握できるメリットもあるという。
パスのサービスは、飲食店の予約・顧客管理を手掛ける「テーブルチェック」(東京)が提供している。
利用者は、スマートフォンのアプリや飲食店のウェブサイトなどで人数、希望する日時を選択し、クレジットカードで購入。
18言語に対応しており、海外からも購入できる。
23年11月に試験提供を開始。
その後、約1年で導入店舗はラーメン店だけでなく、かき氷店やカレー店など80店舗ほどになった。
累計20万人が利用したという。
「見晴らしの良い席の予約」「週末や混雑時のみ運用」といった活用方法もある。
飲食店側はテーブルチェックに手数料を支払い、390円以上で、パスの料金を自由に設定できるという。
飲食代以外の料金を客に求めることに難色を示して導入しない店もある。
担当者は「訪日客が増え、日本食への関心は高まっている。商品の値段だけでなく1席あたりの価値にも注目してほしい」と話す。
参照元:Yahoo!ニュース