TMARCH、SMART、JAW、関関同立近 いくつ分かるか「大学群」 勢力図変化も
TMARCH、SMART、JAW、関関同立近…。
入試の難易度などに基づいた主要大学のグループ分けに新たな呼称が次々と誕生している。
少子化に伴う学生の争奪戦が激化するなか、大学側のイメージ戦略も勢力図の変化に影響を及ぼしているようだ。
こうしたグループ分けは「大学群」とも呼ばれるが、なかでもとりわけ有名な「MARCH(マーチ)」の呼称は、受験生ならずとも耳にしたことがあるはず。
明治大(M)、青山学院大(A)、立教大(R)、中央大(C)、法政大(H)の5校からなり、私立大最高峰の早稲田大、慶応大に次ぐ上位私立大を表す。
大手予備校の河合塾によると、この5校の偏差値(一般選抜)はほとんどの学部が「60.0」前後。「65.0」に達する学部もある。
特に明治、中央、法政の3校は、一般入試で全国屈指の志願者数を誇っている。
一説によると、こうした呼称は受験戦争が過熱した1960年代、受験専門誌によって生み出された。
90年代には、予備校や受験関連書籍でも使われるようになった。
河合塾教育研究開発本部の近藤治主席研究員は「併願する受験生が多く、同じ偏差値帯に位置することもあって、グルーピングされたようだ」と話す。
MARCHは、2000年代に入ると、新たに学習院大(G)が加わり、「GMARCH(ジーマーチ)」に〝アップデート〟されることも。
ミッション系で国際的な学部も多く、英語教育に強みがある上智大(J)、青山学院大(A)、立教大(R)の3校が「JAR(ジャル)」と呼ばれることもあった。
近年、新たに登場した大学群の一つが「SMART(スマート)」だ。
MARCHから明治大(M)、青山学院大(A)、立教大(R)の3校を抜き出し、「早慶上理」に含まれていた上智大(英名・Sophia University/ソフィア・ユニバーシティ=S)と東京理科大(T)を加えた5校を指す。
SMART登場の背景について、近藤氏は「早慶上理、MARCHそれぞれの『二極化』が顕著になったため」と指摘する。
「『早慶上理』といっても、実際は『早慶』が別格で、『上理』との間にはかなりのレベル差がある。難易度的にはMARCHに近しい学部も多かった」。
河合塾によると、上智大の偏差値(一般選抜)は「55.0」~「70.0」、東京理科大(第二部を除く)は「50.0」~「62.5」。
確かに、全学部が「67.5」前後の早慶とは差がある印象だ。
一方、明治、青学、立教の3校はMARCHの中でも人気が上昇傾向。
「早慶とMARCHの間」の存在として、SMARTがつくられた。
新たな呼称は次々に登場している。
たとえば、上智(J)、青学(A)、早稲田(W)を括った「JAW(ジョウ)」。
大学入学共通テストと大学独自の試験を組み合わせた「ハイブリッド型」の入試方式を一部学部で採用するなど積極的な入試改革を行っているグループだ。
日本大、駒沢大、専修大とともに「日東駒専」の一角を占めていた東洋大の人気も上昇。
それに伴い、東洋大(T)がMARCHに加わり「TMARCH(ティーマーチ)」とも呼ばれることもある。
また、MARCHと日東駒専の間に位置する大学群として、成蹊大、成城大、明治学院大、独協大、国学院大、武蔵大の6校から成る「成成明学独国武」も、よく耳にするようなった。
関西圏でも関西圏でも私立大の勢力図の変化は顕著だ。
関西大、関西学院大、同志社大、立命館大からなる「関関同立」は有名だが、新たに近畿大を加えた「関関同立近」という呼称も広がりつつある。
近畿大は京都産業大、甲南大、龍谷大とともに「産近甲龍」と呼ばれていたが、人気が上昇しており、関関同立を猛追。
近藤氏は「卒業式に著名人を呼んだり、『近大マグロ』の研究を前面に押し出したりするなど、宣伝の上手さが際立っている」と人気アップの要因を分析する。
入試難易度だけではなく、大学のイメージ戦略もグループ分けに大きな影響を与えるようになっている。
近藤氏は「以前のように、受験生が大学を偏差値で決めざるを得ない状況ではなくなっている」と話した。
参照元∶Yahoo!ニュース